学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §18 各論(脱臼) 頭部・体幹 / QJ32P087

理由で解く 柔道整復師

QJ32P087 柔道整復理論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問87
問題
顎関節前方脱臼で正しいのはどれか。
選択肢
1 男性に多い。
2 関節包は破れることが多い。
3 関節窩の前方に関節頭を触知する。
4 片側脱臼では口の開閉は不能となる。
解答
正解3(関節窩の前方に関節頭を触知する。)
解説

顎関節前方脱臼では下顎頭が関節結節を越えて前方へ移動する。したがって耳前部(関節窩)は陥凹し、その前方に下顎頭を触知する。

あくび、大笑い、長時間の歯科治療など大きく口を開けた際に、下顎頭が関節結節の前方に乗り上げ、閉口筋(咬筋・側頭筋)の緊張で戻れなくなったものが前方脱臼である。関節窩が空になるため耳の前に陥凹を触れ、頬骨弓の下・関節結節の前方に硬い下顎頭を触知する。両側脱臼では口が開いたまま閉じられず(弾発性固定)、オトガイが前方に突出し、唾液が流れ出て言語も不明瞭になる。一方、片側脱臼では健側の下顎頭が関節窩にとどまるため、下顎はある程度の開閉口運動が可能で、正常な咬合位に戻せないままオトガイが健側へ偏位して咬合がずれる。整復は術者の母指を下顎臼歯部に置いて下方へ押し下げ、他指でオトガイを持ち上げながら下顎頭を関節結節の後方へ導く。整復後は大開口を避けるよう指導し、反復するようなら歯科口腔外科の受診を勧める。

✗ 1. 誤り
男性に多い。
顎関節前方脱臼は女性に多い。関節結節の高さや関節包・靱帯の緩さといった解剖学的条件が関与し、大開口が誘因となる。
✗ 2. 誤り
関節包は破れることが多い。
前方脱臼では関節包は引き伸ばされるものの、断裂しないことが多い。関節包が保たれたまま繰り返し伸ばされるため、反復性脱臼へ移行しやすいのが特徴である。
✓ 3. 正しい
関節窩の前方に関節頭を触知する。
下顎頭が関節結節を越えて前方に転位するため、空になった関節窩には陥凹を触れ、その前方(頬骨弓下)に下顎頭を触知する。触診で位置関係を確かめることが診断の要点になる。
✗ 4. 誤り
片側脱臼では口の開閉は不能となる。
片側脱臼では健側の下顎頭が関節窩にとどまるため、下顎はある程度の開閉口運動が可能であり、「開閉が不能」とはいえない。正常な咬合位に戻せず、オトガイが健側へ偏位して咬合がずれるのが片側脱臼の所見である。なお開口位で固定されて閉口できなくなるのは両側脱臼であり、その場合も閉口ができないのであって開口が不能なわけではない。
ポイント
  • 機序=大開口で下顎頭が関節結節を越えて前方に乗り上げ、閉口筋の緊張で戻れなくなる。
  • 触診所見=耳前部(関節窩)は陥凹、その前方に下顎頭を触知。
  • 両側脱臼=開口位で弾発性固定され閉口不能。オトガイ前突、流涎・言語不明瞭が著明。
  • 片側脱臼=健側の下顎頭が関節窩に残るため開閉口はある程度可能。オトガイが健側へ偏位し咬合がずれる。
  • 関節包は断裂しないことが多く、反復性に移行しやすい。整復後は大開口を避ける指導を行う。
比較表
両側脱臼片側脱臼
オトガイ前方へ突出健側へ偏位
咬合前歯部が開いて咬合できない咬合が患側でずれる
開閉口開口位で固定され閉口不能ある程度の開閉口は可能。ただし正常な咬合位には戻せない
触知両側で関節窩の陥凹+前方に下顎頭患側のみ陥凹+前方に下顎頭
随伴症状流涎・言語不明瞭が著明流涎・言語不明瞭は両側より軽度
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