学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §20 各論(脱臼) 下肢 / QJ30P093

理由で解く 柔道整復師

QJ30P093 柔道整復理論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問93
問題
膝蓋骨外側脱臼で正しいのはどれか。
選択肢
1 徒手整復は困難である。
2 4週の免荷が必要である。
3 内側広筋の強化は再発を予防する。
4 不十分な固定によって習慣性脱臼に移行する。
解答
正解3(内側広筋の強化は再発を予防する。)
解説

膝蓋骨外側脱臼では、膝蓋骨を内側へ引く内側広筋(とくに斜頭)の強化が再発予防の柱になります。正しいのは3です。

膝蓋骨は大腿四頭筋腱と膝蓋腱に挟まれ、大腿骨の膝蓋面(滑車溝)を滑走します。膝軽度屈曲位で下腿が外旋・外反を強制されると、Q角の増大とともに膝蓋骨が外側へ押し出され、内側膝蓋大腿靱帯(MPFL)が破綻して外側脱臼となります。素因として膝蓋骨高位、滑車形成不全、全身関節弛緩性、大腿骨内旋・膝外反アライメント、内側広筋の機能低下が挙げられます。徒手整復は膝を伸展させながら膝蓋骨を内方へ押すことで比較的容易に得られ、受傷時に自然整復されている例も少なくありません。再発を防ぐ鍵は、外側へ引く力に拮抗する内側広筋斜頭(VMO)の働きを取り戻すことと、股関節外転・外旋筋を含めた下肢アライメントの改善です。

✓ 3. 正しい
内側広筋の強化は再発を予防する。
内側広筋、とりわけ斜走する内側広筋斜頭は膝蓋骨を内側へ引き、外方偏位を制動します。受傷後は反射性に萎縮しやすいため、疼痛の許す範囲で早期から等尺性収縮訓練を開始し、続いて閉鎖性運動連鎖での強化と股関節周囲筋のトレーニングへ進めます。
✗ 1. 誤り
徒手整復は困難である。
膝を伸展方向へ誘導しながら膝蓋骨を内方へ押すことで比較的容易に整復されます。来所時にはすでに自然整復されていることも多く、その場合は病歴と内側支持機構の圧痛、膝蓋骨外側への押し込みに対する不安感(アプリヘンションサイン)から判断します。
✗ 2. 誤り
4週の免荷が必要である。
膝蓋骨脱臼では荷重そのものが再脱臼の直接要因にはならないため、長期の免荷は不要です。膝伸展位での固定下に早期から荷重を許可し、拘縮と大腿四頭筋の萎縮を防ぐほうが機能予後は良好です。
✗ 4. 誤り
不十分な固定によって習慣性脱臼に移行する。
外傷後に支持機構の修復が不十分なまま経過して起こるのは反復性脱臼です。習慣性脱臼は、特定の運動をすると毎回ほぼ必ず脱臼するもので、関節形態の異常など素因を背景とします。用語の区別が問われている選択肢です。
ポイント
  • 受傷機転は膝軽度屈曲位での下腿外旋・外反強制。内側膝蓋大腿靱帯(MPFL)が破綻して外側へ脱臼する。
  • 整復は膝伸展+膝蓋骨内方への押し込みで容易。自然整復例も多い。
  • 再発予防の中心は内側広筋斜頭の強化と、股関節外転・外旋筋を含めた下肢アライメントの改善。
  • 長期免荷は行わず、固定下の早期荷重と可動域訓練で拘縮・筋萎縮を防ぐ。
  • 反復性脱臼=外傷後に繰り返すもの、習慣性脱臼=素因があり特定運動で毎回起こるもの。混同しない。
  • 初回脱臼では骨軟骨骨折の合併があり得るため、強い血腫や引っかかり感がある場合は医師の画像評価につなぐ。
比較表
用語成り立ち
反復性脱臼外傷性脱臼の後、支持機構の修復不良により繰り返す膝蓋骨外側脱臼、肩関節前方脱臼
習慣性脱臼関節形態の異常など素因があり、特定の運動でほぼ毎回起こる顎関節脱臼など
随意性脱臼本人の意思で脱臼・整復ができる肩関節など
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