学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §7 滅菌法と消毒法 / QJ31P051

理由で解く 柔道整復師

QJ31P051 外科学概論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問51
問題
消毒と滅菌で誤っているのはどれか。
選択肢
1 グルタラールは粘膜に対して刺激性が弱い。
2 クロルヘキシジンは MRSAに対して有効である。
3 次亜塩素酸ソーダはウイルスに対する効果が高い。
4 ポビドンヨードは蛋白質の存在下で殺菌力が低下する。
解答
正解1(グルタラールは粘膜に対して刺激性が弱い。)
解説

グルタラール(グルタルアルデヒド)は芽胞にも有効な高水準消毒薬ですが、皮膚・粘膜への刺激性が強く、生体には使えない器具専用の薬剤です。「刺激性が弱い」とする1が誤りです。

消毒薬は殺菌スペクトルの広さで3つの水準に整理されます。高水準(グルタラール、フタラール、過酢酸)は芽胞を含むほぼすべての微生物に有効ですが、毒性・刺激性が強いため内視鏡などの器具消毒に限られ、使用時は換気と手袋・ゴーグルによる曝露対策が必要です。中水準(次亜塩素酸ナトリウム、ポビドンヨード、消毒用エタノール)は芽胞以外の結核菌・真菌・ウイルスに有効。低水準(クロルヘキシジン、第四級アンモニウム塩、両性界面活性剤)は一般細菌が主対象で、芽胞・結核菌・多くのウイルスには効きません。もう一つ外せない原則が「有機物の存在下では効力が落ちる」ことで、とくに次亜塩素酸ナトリウムとポビドンヨードは血液・膿・喀痰に含まれる蛋白質に消費されて失活します。だから消毒の前にまず洗浄する、という手順になるのです。

✓ 1. これが誤り(=設問の答え)
グルタラールは粘膜に対して刺激性が弱い。
逆で、刺激性は強い薬剤です。眼・鼻粘膜や気道を刺激し、接触皮膚炎や喘息様症状の原因になるため、皮膚・粘膜など生体には使用せず、内視鏡や手術器具の高水準消毒に用います。取り扱う際は密閉容器・局所排気・保護具の使用と、使用後の十分な水洗(残留薬液の除去)が必須です。
✗ 2. 正しい(=答えではない)
クロルヘキシジンは MRSAに対して有効である。
クロルヘキシジンは低水準消毒薬ですが、グラム陽性球菌にはよく効き、MRSAにも有効です。持続効果があるため手指消毒や皮膚消毒に用いられます。ただし粘膜への使用はアナフィラキシーの報告があり避けるべき点が重要です。
✗ 3. 正しい(=答えではない)
次亜塩素酸ソーダはウイルスに対する効果が高い。
次亜塩素酸ナトリウムはエンベロープの有無を問わず幅広いウイルスに有効で、アルコールが効きにくいノロウイルスやB型肝炎ウイルスにも使えます。金属腐食性があり有機物で失活するため、嘔吐物などはまず拭き取ってから所定濃度で用います。
✗ 4. 正しい(=答えではない)
ポビドンヨードは蛋白質の存在下で殺菌力が低下する。
血液や膿などの有機物が遊離ヨウ素を消費してしまうため、殺菌力が落ちます。汚れを洗浄してから塗布し、遊離ヨウ素が作用するまで乾燥を待つ(およそ2分)ことで効果を発揮させます。
ポイント
  • 高水準(グルタラール等)=芽胞にも有効だが刺激性が強く器具専用。生体には使わない。
  • 中水準=次亜塩素酸ナトリウム、ポビドンヨード、アルコール。結核菌・ウイルスに有効。
  • 低水準=クロルヘキシジン、第四級アンモニウム塩。一般細菌中心。芽胞・結核菌には無効。
  • クロルヘキシジンはMRSAに有効だが、粘膜には使用しない(アナフィラキシー)。
  • 有機物(血液・膿)は消毒薬を失活させる。「洗ってから消毒」が原則。
比較表
水準代表薬芽胞結核菌主な用途
高水準グルタラール、過酢酸有効有効内視鏡など器具(生体不可)
中水準次亜塩素酸Na、ポビドンヨード、エタノール無効有効環境・皮膚・粘膜(薬剤による)
低水準クロルヘキシジン、第四級アンモニウム塩無効無効手指・皮膚・環境
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