学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §1 損傷 / QJ31P046

理由で解く 柔道整復師

QJ31P046 外科学概論

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問46
問題
創傷分類と説明の組合せで誤っているのはどれか。
選択肢
1 刺創-鋭利な刃物などによる刺し傷
2 挫創鋭利な器具による切開創
3 擦過傷擦過による皮膚表面の断続的な剥離
4 銃創銃弾による傷
解答
正解2(挫創鋭利な器具による切開創)
解説

創傷の名前は「どんな外力が組織をどう壊したか」で決まります。鋭利な器具で切り分けた創は切創、鈍的な外力で押しつぶされて生じた創が挫創で、選択肢2はこの2つが入れ替わっています。

開放性損傷を見分ける最大の手がかりは創縁(傷のふち)の性状です。刃物などの鋭器が線状に組織を切り分ければ切創で、創縁は平滑、出血は多いが治りは良好です。同じ鋭器でも深く突き刺されば刺創となり、創口は小さいのに創洞は深く、深部の血管・臓器損傷を見落としやすくなります。これに対し、鈍器や圧迫で皮膚と皮下組織が挫滅して裂けたものが挫創で、創縁は不整でギザギザ、挫滅した組織と汚染を伴うため感染しやすく治りにくいのが特徴です。摩擦で表皮が削り取られれば擦過傷、高速の飛翔体によるものが銃創になります。つまり創縁を見れば、働いた外力の種類を逆算できるわけです。

✓ 2. これが誤った組合せ(=設問の答え)
挫創鋭利な器具による切開創
「鋭利な器具による切開創」は切創の説明です。挫創は鈍的外力によって皮膚・皮下組織が挫滅して生じる創で、創縁が不整・挫滅組織を伴い、しばしば異物や細菌で汚染されています。説明が切創のものにすり替わっているため、これが誤った組合せです。挫創を扱うときは、まず十分な洗浄で汚染と挫滅組織を減らし、深部組織の損傷や骨折の合併を評価したうえで医療機関につなぐことが大切です。
✗ 1. 組合せは正しい(=答えではない)
刺創-鋭利な刃物などによる刺し傷
刺創は先の尖った鋭器が深部に刺入した創で、この説明どおりです。創口が小さいほど「軽症に見える」落とし穴があり、胸腹部では臓器損傷や遅発性の出血が起こり得ます。刺さっている異物は抜かずに固定し、速やかに搬送するのが原則です。
✗ 3. 組合せは正しい(=答えではない)
擦過傷擦過による皮膚表面の断続的な剥離
擦過傷は路面などとの摩擦で表皮が削り取られた創で、説明と合致します。真皮浅層までにとどまれば瘢痕を残さず治りますが、砂やアスファルトの粒子が残ると外傷性刺青となって色素が定着します。早期に十分な洗浄で異物を除くことが最良の予防になります。
✗ 4. 組合せは正しい(=答えではない)
銃 創銃弾による傷
銃創は銃弾によって生じる創で、説明どおりです。射入口・射創管・射出口という構造をとり、高速弾では弾道の周囲組織まで損傷が及ぶため、外見の創口以上に深部損傷が大きくなります。
ポイント
  • 切創=鋭器で切る/刺創=鋭器が刺さる/挫創=鈍的外力で挫滅/裂創=引き裂かれる。外力の性質で名前が決まる。
  • 挫創は「創縁不整+挫滅組織+汚染」の三拍子で、感染しやすく治癒が遅い。
  • 刺創は創口が小さいほど深部損傷を見落としやすい。刺入異物は抜かずに固定して搬送する。
  • 擦過傷は洗浄による異物除去が外傷性刺青の予防になる。
  • 創縁の形(平滑か不整か)から働いた外力を逆算するのが鑑別のコツ。
比較表
創の種類加わった外力創縁の性状臨床上の注意
切創鋭器で切る平滑・直線的出血は多いが治癒良好
刺創鋭器が刺入創口は小さい創洞が深く深部臓器損傷を伴う
挫創鈍的外力・圧挫不整・挫滅組織あり汚染・感染しやすく治りにくい
裂創牽引・引き裂き不整皮弁状になり血行障害を伴うことがある
擦過傷摩擦(擦過)表皮の剥離異物残留→外傷性刺青
銃創銃弾(高速)射入口・射出口弾道周囲まで組織損傷が及ぶ
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