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理由で解く 柔道整復師

QJ32P046 外科学概論

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午後 問46
問題
汚染創の管理で誤っているのはどれか。
選択肢
1 創洗浄
2 デブリドマン
3 消毒薬塗布
4 ドレッシング
解答
正解3(消毒薬塗布)
解説

汚染創の管理は「よく洗う・悪い組織を取り除く・適切に覆う」が基本で、創面への消毒薬塗布はこの流れに含まれません。したがって誤っているのは3です。

汚染創には細菌だけでなく、土砂・衣類片などの異物や失活(壊死)組織が入り込んでいます。感染が成立するかどうかは「菌量と毒力」対「生体の防御力」の綱引きで決まるため、まず菌と異物の絶対量を減らすことが最優先になります。具体的には生理食塩水や流水による十分量の洗浄で物理的に洗い流し、残った壊死組織と異物をデブリドマンで切除し、そのあとは創面を乾燥させないドレッシングで保護する、という順序です。一方で消毒薬(ポビドンヨード、クロルヘキシジンなど)は血液や滲出液中の蛋白・有機物と結合して短時間で効力を失うのに対し、線維芽細胞・表皮細胞・好中球に対する細胞毒性は残るため、創面に繰り返し塗ると肉芽形成と上皮化がかえって遅れます。消毒薬が力を発揮するのは創周囲の健常皮膚や手術前の皮膚消毒であって、開いた創面そのものではありません。汚染創を前にしたら、消毒薬の瓶に手を伸ばす前に十分量の洗浄液を用意する、と覚えましょう。

✗ 1. 正しい処置(答えではない)
創洗浄
汚染創管理の中心となる手技です。生理食塩水や飲用可能な流水を十分量用いて洗い流すことで、細菌と微細な異物の量そのものを下げられます。薬剤の強さより「洗浄液の量」が効果を決めるので、ためらわずたっぷり使います。
✗ 2. 正しい処置(答えではない)
デブリドマン
洗浄では落ちない失活組織・挫滅組織・埋没した異物を切除する処置です。壊死組織は抗菌薬も血流も届かない細菌の培地になるため、これを取り除いて健常な創縁をつくることが、感染予防と治癒促進の両方につながります。
✓ 3. これが誤り(正答)
消毒薬塗布
消毒薬は創面の蛋白で急速に不活化される一方、線維芽細胞や遊走中の表皮細胞を傷めるため、汚染創の創面へのルーチンの塗布は現在の標準的な管理から外れています。実際に行うべきことは、十分量の洗浄液で創内を洗い流し、必要なデブリドマンを加え、湿潤環境を保つ被覆材で覆うことです。消毒薬は創周囲の健常皮膚や術前の皮膚消毒に用途を限定します。
✗ 4. 正しい処置(答えではない)
ドレッシング
洗浄とデブリドマンのあと、創面を外界の汚染から守りつつ適度な湿潤環境を保つために行います。創が乾燥すると上皮細胞が遊走できず治癒が遅れるので、滲出液の量に見合った被覆材を選んで覆います。
ポイント
  • 汚染創管理の三本柱は「洗浄(菌と異物を物理的に減らす)」「デブリドマン(失活組織・残存異物の切除)」「ドレッシング(湿潤環境の保持と保護)」。
  • 感染の成立は〈菌量×毒力〉対〈生体防御力〉で決まる。洗浄とデブリドマンはこの菌量・異物量を直接下げる手技なので優先度が高い。
  • 消毒薬は蛋白・有機物で失活しやすく、線維芽細胞や表皮細胞への毒性が強い。用いるのは創周囲の健常皮膚や術前皮膚消毒に限る。
  • 創面を乾燥させると上皮細胞が遊走できない。滲出液の量に合った被覆材で湿潤環境を保つ。
  • 汚染創では併せて、深部の異物・血管・神経・腱損傷の評価と、破傷風予防(トキソイド接種歴の確認)も行う。
比較表
処置ねらい作用のしかた創面への適用
創洗浄菌と異物の量を減らす十分量の洗浄液で物理的に洗い流す行う(管理の中心)
デブリドマン感染源となる組織を断つ失活組織・埋没異物を切除する行う
ドレッシング保護と治癒環境の確保湿潤環境を保ち上皮化を助ける行う
消毒薬塗布皮膚表面の細菌を減らす蛋白で失活しやすく細胞毒性がある創面には用いない(周囲の健常皮膚・術前消毒に限る)
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