学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ30P111

理由で解く 柔道整復師

QJ30P111 柔道整復理論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問111
問題
23歳の女性。自宅の階段を踏み外して右膝関節を捻った。受傷直後は膝関節外側部に膨隆がみられたが、来所時には膨隆が消失していた。これまでも同じような症状が繰り返しあった。考えられるのはどれか。
選択肢
1 サギングがみられる。
2 前方引き出しテストが陽性である。
3 アプリヘンションサインがみられる。
4 膝蓋骨外側部に圧痛がある。
解答
正解3(アプリヘンションサインがみられる。)
解説

受傷直後にあった膝外側の膨隆が来所時には消え、同じことを繰り返している。外側へ脱臼した膝蓋骨が膝を伸ばした際に自然整復されたと読み、反復性膝蓋骨脱臼を考える。したがってアプリヘンションサインが陽性となる。

膝蓋骨脱臼は、膝を軽く曲げた状態で下腿が外旋・外反する動き(着地、方向転換、階段の踏み外し)で膝蓋骨が外側へ滑り出して起こる。膝を伸展すると大腿四頭筋の張力で自然に整復されることが多く、来所時には膨隆が消えて一見何もない膝に見えるため、受傷直後の状況を聞き取ることが診断の鍵になる。反復例では内側膝蓋大腿靱帯(MPFL)と内側支帯が伸びてゆるみ、膝蓋骨を外側へ押しながら膝を屈曲させていくと、再脱臼の不安から患者が筋を緊張させて動きを止めようとする。これがアプリヘンションサイン(脱臼不安感テスト)陽性である。素因には大腿骨外側顆の低形成(滑車溝が浅い)、Q角の増大、膝蓋骨高位、全身関節弛緩性があり、若い女性に多い。対応は、急性期の腫脹管理と固定のあと、内側広筋を中心とした大腿四頭筋の強化、股関節外転・外旋筋の強化、装具やテーピングによる外方への制動である。反復する例では手術(MPFL再建など)も検討されるため、医師と連携する。

✓ 3. 正しい
アプリヘンションサインがみられる。
膝蓋骨を外側へ押しながら膝を屈曲していくと、患者が再脱臼の不安から動きに抵抗する。反復性膝蓋骨脱臼で内側の制動機構(MPFL・内側支帯)がゆるんでいることを示す所見で、本例の経過とよく合致する。
✗ 1. 誤り
サギングがみられる。
サギング(脛骨の後方落ち込み)は、膝屈曲90度で脛骨粗面が後方に沈む所見で、後十字靱帯損傷を示す。ダッシュボード損傷など脛骨前面を前方から打つ機転で起こり、外側の膨隆が出没する本例とは病態が異なる。
✗ 2. 誤り
前方引き出しテストが陽性である。
前方引き出しテストは前十字靱帯損傷の検査。前十字靱帯損傷では受傷時に断裂音を自覚し、関節血腫のため膝全体が腫れて数日は腫脹が続く。受傷直後だけ外側に膨隆があり来所時には消えていたという経過とは合わない。
✗ 4. 誤り
膝蓋骨外側部に圧痛がある。
膝蓋骨が外側へ脱臼するとき損傷されるのは内側の制動機構なので、圧痛は膝蓋骨内側縁から内転筋結節付近(MPFL走行部)に出る。脱臼時に膝蓋骨内側面と大腿骨外側顆がぶつかって骨挫傷を残すことはあるが、まず確認すべき圧痛部位は内側である。
ポイント
  • 受傷直後の膝外側の膨隆が伸展で消える=膝蓋骨外側脱臼の自然整復。反復例は反復性膝蓋骨脱臼。
  • 損傷されるのは内側膝蓋大腿靱帯(MPFL)と内側支帯。圧痛は膝蓋骨内側縁。
  • アプリヘンションサイン(膝蓋骨を外側へ押しながら屈曲)が陽性になる。
  • 素因は滑車溝の浅い大腿骨外側顆、Q角増大、膝蓋骨高位、全身関節弛緩性。若い女性に多い。
  • 内側広筋・股関節外転外旋筋の強化と装具で再発を減らす。反復例は手術の検討を医師へ。
比較表
損傷陽性となる検査特徴的な経過
反復性膝蓋骨脱臼アプリヘンションサイン外側の膨隆が伸展で消える、反復する
前十字靱帯損傷前方引き出しテスト、ラックマンテスト断裂音、急速な関節血腫、膝崩れ
後十字靱帯損傷サギング徴候、後方引き出しテスト脛骨前面への直達外力(ダッシュボード損傷)
内側側副靱帯損傷外反ストレステスト膝外側からの外反強制、内側の圧痛
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。