学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ30P112
理由で解く 柔道整復師
上腕を下方へ引くと肩峰と骨頭の間に段差(サルカスサイン)ができるのは、下方への関節弛緩を示す所見。動揺性肩関節症を考える。
動揺性肩関節症(ルーズショルダー)は、明らかな脱臼の既往がなくても関節包が広く緩く、骨頭が下方あるいは多方向へ偏位してしまう状態をいう。若年女性に多く、両側性のことも珍しくない。遠投・スパイク・水泳のように上肢を大きく加速させる動作で、腕が「抜けそう」「ガクッとする」という脱力感や不安感を訴えるのが典型的な訴え方である。診察では上腕を下方へ牽引したときに肩峰の下に陥凹(間隙)が触れるサルカスサインが決め手になる。設問の「肩峰と上腕との間に間隙ができた」はまさにこれを指している。対応は順序が大切で、まず症状を誘発している投球を一時中止し、不安定性の方向(下方か多方向か)と程度、および他の投球障害の合併を評価する。そのうえで腱板(とくに棘下筋・肩甲下筋)と肩甲帯(前鋸筋・僧帽筋下部)の求心位保持トレーニングを段階的に導入し、投球量とフォームを調整しながら段階的に競技復帰させる。逆に安静一辺倒で終わらせると不安定性は改善しないため、休ませて終わりにもしない。成長期の中学生であることを踏まえ、保護者・指導者とも復帰の見通しを共有しておく。
| 疾患 | 主な訴え | 特徴的所見 |
|---|---|---|
| 動揺性肩関節症 | 抜けそう・ガクッとする脱力感 | サルカスサイン陽性、多方向不安定性 |
| リトルリーガー肩 | 成長期の投球時痛 | 上腕骨近位骨端線部の圧痛、画像で骨端線開大 |
| ベネット損傷 | フォロースルー期の肩後方痛 | 後下方関節唇周囲の骨性隆起 |
| 肩峰下インピンジメント症候群 | 挙上途中の痛み | ペインフルアーク、ニアー/ホーキンス徴候 |
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