学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ30P113

理由で解く 柔道整復師

QJ30P113 柔道整復理論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問113
問題
13歳の男子。野球部の投手で右投げである。2週前から右肘関節内側に痛みを自覚した。診断は右肘内側側副靱帯損傷であった。一番負担のかかっていた投球動作区分はどれか。
選択肢
1 ワインドアップ期
2 加速期
3 フォロースルー期
4 リリース期
解答
正解2(加速期)
解説

投球中に肘の内側(内側側副靱帯)へかかる外反ストレスが最大になるのは、後期コッキングから加速期にかけて。選択肢の中では加速期が該当する。

投球動作はワインドアップ期 → コッキング期(早期・後期) → 加速期 → リリース → フォロースルー期と進む。後期コッキングで肩が最大外旋した状態から、体幹と肩の回旋によって前腕が一気に振り出される加速期には、肘へ強い外反モーメントが加わり、同時に前腕の回内と肘伸展が高速で起こる。この外反力に耐えているのが内側側副靱帯(とくに前斜走線維)と、その上を走る円回内筋・尺側手根屈筋などの屈曲回内筋群である。負荷が繰り返されると靱帯が微小損傷を積み重ね、内側の痛みとして現れる。成長期の投手では靱帯より先に内側上顆の骨端核(骨端線)が傷むこともあるため、内側痛が続く場合は骨端障害の可能性もあわせて考える。対応は投球数と投球間隔の管理、内側の圧痛・外反ストレステスト・肘伸展制限の定期確認、そして下肢・体幹主導のフォームへの修正を組み合わせて行う。

✓ 2. 正しい
加速期
最大外旋位から前腕が一気に振り出される局面で、肘に加わる外反モーメントが最も大きくなる。内側側副靱帯はこの外反力を制動する主役であり、繰り返しの負荷で損傷する。選択肢にコッキング期がない構成のため、外反ストレスのピークを含むこの区分が答えとなる。
✗ 1. 誤り
ワインドアップ期
軸足の上に体重を乗せて構えを作る準備段階で、上肢はまだ加速していない。肘へのストレスはほとんどかからず、内側側副靱帯損傷の原因局面にはならない。
✗ 3. 誤り
フォロースルー期
ボールが手を離れたあと、振り出された腕を減速させる局面。肘は伸展し、ストレスの中心は肘の外側・後方(肘頭と肘頭窩の衝突など)や肩後方へ移る。内側へのピークはすでに過ぎている。
✗ 4. 誤り
リリース期
ボールが指を離れる瞬間で、加速期の終末に位置する。この時点では肘はすでに伸展方向へ向かっており、外反ストレスの最大値は加速期の中で通過している。
ポイント
  • 肘内側(内側側副靱帯)=外反ストレスに耐える構造。ピークは後期コッキング〜加速期
  • 肘外側(上腕骨小頭)=圧迫ストレス。離断性骨軟骨炎が同じ局面で問題になる
  • 肘後方(肘頭)=伸展・衝突ストレス。フォロースルー期に負荷がかかる
  • 成長期は靱帯より骨端線が弱い。内側上顆の骨端障害も鑑別に入れる
  • 投球数・間隔の管理と、下肢体幹主導のフォーム修正まで含めて再発予防を組み立てる
比較表
投球期肘に加わる主なストレス起こりやすい障害
ワインドアップ期ほとんどなし
コッキング期(後期)〜加速期外反ストレス(内側の牽引・外側の圧迫)内側側副靱帯損傷、内側上顆骨端障害、離断性骨軟骨炎
リリース期外反から伸展へ移行
フォロースルー期伸展・後方の衝突、腕の減速肘頭疲労骨折、後方インピンジメント、肩後方痛
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