学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ30P109

理由で解く 柔道整復師

QJ30P109 柔道整復理論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問109
問題
72歳の女性。歯科医院にて治療中、閉口困難を訴えた。半開口位のままで開閉はわずかに可能である。下顎歯列は上顎歯列の前方に偏位し、頣部も左側にやや偏位していた。考えられるのはどれか。
選択肢
1 右顎関節前方脱臼
2 左顎関節側方脱臼
3 両側顎関節前方脱臼
4 両側顎関節後方脱臼
解答
正解1(右顎関節前方脱臼)
解説

閉口できない半開口位、下顎歯列の前方偏位、オトガイ部の左偏位。患側は偏位した側の反対=右で、右顎関節前方脱臼と考える。

顎関節前方脱臼は、大開口や歯科治療中の長時間開口などで下顎頭が関節結節を越えて前方へ転位し、外側翼突筋・咬筋の緊張で戻れなくなったものである。口が開いたまま閉じられず、下顎が前に突き出て下顎歯列が上顎歯列より前方に位置する。両側性なら下顎は正中を保ったまま前方へ出るのに対し、片側性では患側の下顎頭だけが前方へ移動するため、オトガイ部は健側へ偏位し、健側の下顎頭を軸としてわずかな開閉が可能になる。本例はオトガイが左へ偏位しているので、左が健側、右が患側と読める。整復は母指を下顎臼歯部に置いて下方に圧し下げ、そのまま後方へ導く(ヒポクラテス法)。整復後は再脱臼防止のため顎包帯などで数日間開口を制限し、大開口を避けるよう指導する。

✓ 1. 正しい
右顎関節前方脱臼
下顎歯列の前方偏位は前方脱臼を、オトガイ部の左偏位は右側が患側であることを示す。片側性のため健側下顎頭を支点にわずかな開閉が残っており、「半開口位のままで開閉はわずかに可能」という記載とも一致する。
✗ 2. 誤り
左顎関節側方脱臼
顎関節の側方脱臼は下顎頸部骨折などを伴うまれな損傷である。また左が患側であればオトガイは右へ偏位するはずで、所見と左右が逆になる。
✗ 3. 誤り
両側顎関節前方脱臼
両側が同時に前方転位すると下顎は正中を保ったまま前方へ突出するため、オトガイ部の左右偏位は生じない。開口位に固定されて閉口も開閉もほぼ不能となる点も本例と異なる。
✗ 4. 誤り
両側顎関節後方脱臼
後方脱臼は外耳道骨折を伴うようなきわめてまれな損傷で、下顎は後方へ移動する。下顎歯列が上顎歯列より前方にあるという本例の所見とは方向が逆である。
ポイント
  • 顎関節脱臼はほとんどが前方脱臼。開口したまま閉じられないのが基本像。
  • 片側性ではオトガイが健側へ偏位し、わずかな開閉が可能。
  • 両側性では下顎が正中のまま前方突出し、オトガイの偏位はない。
  • 整復はヒポクラテス法(下方へ圧し下げてから後方へ導く)。
  • 整復後は顎包帯で開口制限を行い、大開口・あくび・硬い食物を避けるよう指導する。
比較表
下顎の位置オトガイの偏位開閉口
片側前方脱臼前方へ突出+患側が前へ健側へ偏位わずかに可能
両側前方脱臼正中のまま前方突出なしほぼ不能
後方脱臼(まれ)後方へ移動閉口位で固定されやすい
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