学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ30P108
理由で解く 柔道整復師
母指・示指の軸圧痛と手関節橈背屈での疼痛増悪は、手関節の橈側〜中央(舟状骨を中心とする列)に力が集まったことを示す所見。尺側にある有鈎骨の骨折はこの所見からは考えにくい。
手掌をついて手関節が強く背屈されると、外力は母指列・示指列から大菱形骨・小菱形骨を経て舟状骨へ、そして橈骨へ抜ける。したがって母指や示指に軸圧を加えて痛むときは、その線上にある舟状骨とその周囲を疑うのが筋道である。手関節の橈背屈で痛むのも、舟状骨が橈骨茎状突起と衝突する位置関係から説明できる。舟状骨骨折はスナッフボックス(解剖学的嗅ぎたばこ入れ)の圧痛が加われば可能性が高く、受傷直後のエックス線では骨折線が写らないことがあるため、疑った段階で固定したうえで2週後の再検査を含めた医師の評価を求める。近位骨片は血流が乏しく偽関節や阻血性壊死に至りやすいので、見逃しの代償が大きい。同じ背屈強制では月状骨脱臼や手根中央関節脱臼も起こり得る。一方、有鈎骨(特に有鈎骨鉤)の骨折は、バットやクラブのグリップが小指球に当たって折れる型が典型で、環指・小指側の軸圧痛や小指球部の圧痛、尺骨神経症状が手がかりとなり、本例の所見の局在と一致しない。
| 損傷 | 圧痛・軸圧痛の局在 | 典型的な受傷機転 |
|---|---|---|
| 舟状骨骨折 | スナッフボックス、母指・示指の軸圧 | 手掌をついた手関節背屈・橈屈強制 |
| 月状骨脱臼 | 手関節中央掌側、示指・中指の軸圧 | 強い背屈強制 |
| 手根中央関節脱臼 | 手関節全体、変形と腫脹 | 手掌をついた過伸展 |
| 有鈎骨鉤骨折 | 小指球部、環指・小指の軸圧 | グリップが小指球に当たる(野球・ゴルフ) |
解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。