学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §15 部位別各論 体幹 / QJ30P063

理由で解く 柔道整復師

QJ30P063 整形外科学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問63
問題
頸椎後縦靱帯骨化症で正しいのはどれか。
選択肢
1 女性に多い。
2 骨化の進行は早い。
3 糖尿病を合併することが多い。
4 進行すると弛緩性麻痺を呈する。
解答
正解3(糖尿病を合併することが多い。)
解説

頸椎後縦靱帯骨化症は中年以降の男性に多く、骨化はきわめてゆっくり進む。肥満や耐糖能異常との関連が知られ、糖尿病の合併が多いので3が正しい。

後縦靱帯骨化症(OPLL)は、椎体後面を縦走する後縦靱帯が異所性に骨化し、脊柱管を前方から狭窄して脊髄や神経根を圧迫する疾患である。日本を含む東アジアに多く、国の指定難病に位置づけられている。50歳前後の男性に好発し、肥満、耐糖能異常、他部位の靱帯骨化(黄色靱帯骨化症、びまん性特発性骨増殖症)を伴いやすい。骨化の進行は緩徐で、画像上骨化があっても長く無症状のまま経過することが多い。脊髄が圧迫されると上肢のしびれや手指の巧緻運動障害から始まり、下肢の痙性歩行、さらに膀胱直腸障害へと進む。骨化部では脊柱管に余裕がないため、転倒や追突などの軽微な外力で急に脊髄麻痺を生じることがある。施術では頸部の過伸展を避け、しびれ・巧緻運動障害・歩行障害があれば速やかに医師の診察につなぐ。

✗ 1. 誤り
女性に多い。
男性に多い疾患で、男女比はおよそ2対1とされる。中年以降、とくに50歳前後の男性に好発する点をおさえる。
✗ 2. 誤り
骨化の進行は早い。
骨化は数年から数十年をかけて緩徐に進む。無症状のまま経過する例も多く、治療は定期的な画像と神経症状の経過観察が基本となる。
✓ 3. 正しい
糖尿病を合併することが多い。
肥満や耐糖能異常との関連が知られ、糖尿病の合併率が高い。靱帯の異所性骨化を促す全身的な代謝要因が背景にあると考えられており、他部位の靱帯骨化を伴いやすいこととも整合する。
✗ 4. 誤り
進行すると弛緩性麻痺を呈する。
圧迫されるのは脊髄を下行する皮質脊髄路(上位運動ニューロン)なので、障害高位より下位には痙性麻痺を呈する。筋緊張の亢進、深部腱反射の亢進、バビンスキー反射などの病的反射陽性、痙性歩行がみられる。なお圧迫高位そのものでは前角細胞(下位運動ニューロン)や神経根が侵され、上肢に筋萎縮や腱反射低下といった弛緩性の要素がみられることがある。「上肢は弛緩性、下肢は痙性」という上下の解離は頸髄症に特徴的な所見である。
ポイント
  • 東アジア(とくに日本)に多く、50歳前後の男性に好発する指定難病。
  • 骨化の進行は緩徐で、画像所見があっても無症状のことが多い。
  • 肥満・糖尿病(耐糖能異常)、黄色靱帯骨化症など他部位の靱帯骨化を合併しやすい。
  • 症状は上肢のしびれ・手指の巧緻運動障害(ボタンかけ、箸の使用)から始まり、痙性歩行、膀胱直腸障害へ進む。
  • 麻痺の型は「頸髄だから痙性」ではなく「どの構造が障害されたか」で決まる。下行する皮質脊髄路(上位運動ニューロン)が圧迫されれば障害高位より下位が痙性、圧迫高位の前角細胞や神経根(下位運動ニューロン)が侵されればその支配筋は弛緩性となる。
  • 脊柱管に余裕がないため軽微な外力で脊髄麻痺を起こしうる。頸部の過伸展を避け、神経症状があれば医師につなぐ。
比較表
項目痙性麻痺(上位運動ニューロン障害)弛緩性麻痺(下位運動ニューロン障害)
障害される構造皮質脊髄路(大脳皮質〜脊髄を下行する路)脊髄前角細胞、神経根、末梢神経
筋緊張亢進低下
深部腱反射亢進減弱〜消失
病的反射陽性(バビンスキー反射など)陰性
筋萎縮軽度(主に廃用による)早期から著明
代表的病態頸椎後縦靱帯骨化症・頸椎症性脊髄症の障害高位より下位(下肢の痙性歩行など)頸髄症の圧迫高位に一致する上肢の筋萎縮・腱反射低下、神経根障害、末梢神経損傷、脊髄円錐・馬尾障害
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