学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §18 部位別各論 前腕 / QJ30P064

理由で解く 柔道整復師

QJ30P064 整形外科学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問64
問題
モンテギア(Monteggia)骨折で正しいのはどれか。
選択肢
1 尺骨神経麻痺を伴う。
2 橈骨頭の前方脱臼を伴う。
3 尺骨の遠位 1/3で骨折する。
4 成人では外固定法が適応となる。
解答
正解2(橈骨頭の前方脱臼を伴う。)
解説

モンテギア骨折は尺骨近位部の骨折に橈骨頭の脱臼を合併した骨折です。最も多い伸展型では橈骨頭が前方へ脱臼するので、正解は2です。

前腕は橈骨と尺骨が近位・遠位橈尺関節と骨間膜で結ばれ、全体で一つの輪のような構造をとります。そのため一方の骨が短縮や屈曲を伴って折れると、もう一方は逃げ場を失って関節が脱臼します。モンテギア骨折では尺骨の近位1/3が折れ、橈骨頭が輪状靱帯を破って脱臼します。バド分類のI型(伸展型)が最も多く、尺骨は前方凸に屈曲し、橈骨頭は前方へ脱臼します。橈骨頭のすぐ前方を橈骨神経深枝(後骨間神経)が走るため、この神経麻痺による下垂指を合併しやすいことも押さえどころです。

✓ 2. 正しい
橈骨頭の前方脱臼を伴う。
最も頻度の高い伸展型(バドI型)では橈骨頭が前方へ脱臼します。肘外側の腫脹・変形、前腕回旋制限、肘窩での骨頭の触知が手がかりで、前腕骨折をみたら必ず肘関節も評価します。
✗ 1. 誤り
尺骨神経麻痺を伴う。
合併しやすいのは橈骨神経深枝(後骨間神経)麻痺です。脱臼した橈骨頭により神経が牽引・圧迫され、手指のMP関節を伸展できない下垂指を生じます。深枝は運動枝のため感覚障害は伴わず、手関節の背屈は保たれます。
✗ 3. 誤り
尺骨の遠位 1/3で骨折する。
骨折するのは尺骨の近位1/3です。橈骨遠位1/3の骨折に遠位橈尺関節の脱臼を伴うものはガレアッチ骨折で、位置関係が逆になります。
✗ 4. 誤り
成人では外固定法が適応となる。
成人では尺骨の整復位保持が難しく、橈骨頭の再脱臼を起こしやすいため、尺骨のプレート固定を中心とした観血的整復固定術が原則です。小児では徒手整復と外固定で治療できることが多く、年齢で方針が分かれます。
ポイント
  • モンテギア骨折=尺骨近位1/3の骨折+橈骨頭脱臼。バドI型(伸展型・前方脱臼)が最多。
  • ガレアッチ骨折=橈骨遠位1/3の骨折+遠位橈尺関節脱臼。位置関係で対にして覚える。
  • 合併しやすい神経障害は橈骨神経深枝(後骨間神経)麻痺=下垂指。感覚障害はない。
  • 前腕骨骨折では肘と手の両関節を必ず診察し、X線も上下の関節を含めて撮影してもらう。
  • 治療は成人が観血的整復固定術、小児は徒手整復+外固定が中心。
比較表
モンテギア骨折ガレアッチ骨折
骨折部位尺骨近位1/3橈骨遠位1/3
合併する脱臼橈骨頭(近位橈尺関節)遠位橈尺関節
最多の型バドI型(伸展型)=橈骨頭の前方脱臼型分類は用いない
合併しやすい神経障害橈骨神経深枝(後骨間神経)麻痺=下垂指神経障害はまれ
成人の治療観血的整復固定術(尺骨プレート+橈骨頭整復)観血的整復固定術(橈骨プレート)
見落とし防止肘関節の評価を必ず行う手関節(遠位橈尺関節)の評価を必ず行う
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