学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §18 部位別各論 前腕 / QJ31P065

理由で解く 柔道整復師

QJ31P065 整形外科学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問65
問題
フォルクマン(Volkmann) 拘縮の阻血症状でないのはどれか。
選択肢
1 疼痛
2 皮膚紅潮
3 運動麻痺
4 脈拍消失
解答
正解2(皮膚紅潮)
解説

阻血症状は頭文字Pの5つ(5P)でまとめられます。皮膚の色は血流が減るために蒼白となり、紅潮は含まれません。したがって答えは2です。

フォルクマン拘縮は、小児の上腕骨顆上骨折などの後に前腕の筋区画内圧が上昇し(コンパートメント症候群)、筋と神経が阻血に陥って壊死・線維化を起こし、手指の屈曲拘縮を残した最終像です。前兆となる阻血症状が5P、すなわちPain(疼痛)、Pallor(蒼白)、Paresthesia(感覚異常)、Paralysis(運動麻痺)、Pulselessness(脈拍消失)です。このうち最も早く現れて重要なのが、鎮痛薬が効かない持続する強い痛みと、手指を他動的に伸展させたときの激痛です。血流が乏しくなるのですから皮膚は蒼白で冷たくなり、進行すればチアノーゼを呈します。紅潮は充血や炎症で血流が増えたときの所見で、方向が逆です。固定後にこれらの訴えがあれば、包帯やギプスをためらわずゆるめ、患肢を心臓と同じ高さに保ち(挙上しすぎると灌流圧が下がります)、直ちに医師の診察につないでください。脈が触れるからといって発症は否定できません。

✓ 2. 阻血症状ではない(これが答え)
皮膚紅潮
阻血では動脈血の流入が減るため、皮膚は蒼白・冷感となり、進行するとチアノーゼを示します。紅潮は血流が増えた状態の所見で阻血症状には含まれず、これが設問の答えになります。
✗ 1. 阻血症状である(答えではない)
疼痛
5PのPain。安静時にも増強する強い痛みと、手指の他動伸展で誘発される激痛が最も早期かつ重要なサインです。
✗ 3. 阻血症状である(答えではない)
運動麻痺
5PのParalysis。神経と筋の阻血により手指の自動運動ができなくなります。放置すれば不可逆的な拘縮に進みます。
✗ 4. 阻血症状である(答えではない)
脈拍消失
5PのPulselessness。橈骨動脈の拍動が触れなくなる所見ですが、出現は遅く、脈が触れても阻血を否定できない点に注意します。
ポイント
  • 阻血症状=5P:Pain(疼痛)、Pallor(蒼白)、Paresthesia(感覚異常)、Paralysis(運動麻痺)、Pulselessness(脈拍消失)。
  • 皮膚は蒼白・冷感。紅潮は充血・炎症の所見で方向が逆。
  • 最も早く重要なのは持続する強い疼痛と手指の他動伸展痛。脈拍消失は遅い所見で、触れても否定できない。
  • 背景は前腕のコンパートメント症候群。小児の上腕骨顆上骨折後が代表的な契機。
  • 疑ったら固定・包帯をゆるめ、患肢を心臓の高さに保ち、直ちに医師へ。挙上しすぎると灌流圧が下がる。
比較表
5P日本語現れ方
Pain疼痛最も早い。他動伸展で激痛。鎮痛薬が効きにくい
Pallor蒼白皮膚は白く冷たい。進行でチアノーゼ(紅潮ではない
Paresthesia感覚異常しびれ、触覚の鈍麻。比較的早期
Paralysis運動麻痺手指の自動運動が困難になる
Pulselessness脈拍消失遅い所見。触れても発症を否定できない
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