学習トップ理由で解く 柔道整復師整形外科学 ▸ §19 部位別各論 手関節 / QJ30P062

理由で解く 柔道整復師

QJ30P062 整形外科学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問62
問題
キーンベック(Kienböck)病で正しいのはどれか。
選択肢
1 保存療法は無効である。
2 舟状骨の壊死性疾患である。
3 手関節掌側の腫脹がみられる。
4 進行すると手根骨の配列異常がみられる。
解答
正解4(進行すると手根骨の配列異常がみられる。)
解説

キーンベック病は月状骨の無腐性壊死(月状骨軟化症)です。進行すると月状骨が圧潰して手根骨の並びが崩れるため、正解は4です。

月状骨は手根骨のほぼ中央に位置し、栄養血管の進入が少なく血行に乏しいため、繰り返す圧迫や外力で血行障害を起こしやすい骨です。手をよく使う青壮年男性、とくに大工や振動工具を使う職業に多く、尺骨が橈骨より短い尺骨マイナス変異が背景にあると、橈骨側から月状骨に応力が集中しやすくなります。壊死が進むと月状骨は硬化し、扁平化して、やがて圧潰します。その結果、隣り合う舟状骨が掌屈方向に回転し、有頭骨が近位へ落ち込むなど手根骨の配列(手根骨高)が崩れ、手関節の変形性変化へ進行します。

✓ 4. 正しい
進行すると手根骨の配列異常がみられる。
月状骨が圧潰すると手根骨高が減少し、舟状骨の掌屈回転や有頭骨の近位移動といった配列異常が生じます。X線での手根骨高比の低下や舟状骨のリング状陰影が進行の目安になります。
✗ 1. 誤り
保存療法は無効である。
初期には手関節の安静・固定や、手を酷使する作業内容の見直しといった保存療法が行われ、症状の改善が得られることもあります。進行例では橈骨短縮骨切り術などの手術が検討されます。
✗ 2. 誤り
舟状骨の壊死性疾患である。
壊死するのは月状骨です。舟状骨も骨折後に近位骨片が壊死・偽関節をきたしやすい骨ですが、それは外傷後の合併症であり本症とは別に整理します。
✗ 3. 誤り
手関節掌側の腫脹がみられる。
月状骨は手関節背側の中央、リスター結節の遠位に位置するため、腫脹と圧痛は背側に現れます。手関節背屈時痛、可動域制限、握力低下も特徴的です。
ポイント
  • キーンベック病=月状骨の無腐性壊死(月状骨軟化症)。
  • 手をよく使う青壮年男性に好発し、尺骨マイナス変異が関連する。
  • 所見は手関節背側中央の腫脹・圧痛、背屈制限、握力低下。掌側ではない。
  • 進行は硬化→扁平化→圧潰→手根骨の配列異常(舟状骨の掌屈回転、有頭骨の近位移動)。
  • 初期は安静・固定と作業内容の調整、進行例は橈骨短縮骨切り術などの手術。
比較表
疾患名障害される部位好発
キーンベック病月状骨手をよく使う青壮年男性
プライザー病手の舟状骨まれ、中年
ペルテス病大腿骨頭(骨端核)4〜8歳の男児
ケーラー病足の舟状骨3〜7歳
フライバーグ病(第2ケーラー病)第2中足骨頭思春期の女子
パンナー病上腕骨小頭学童期の男児
オスグッド・シュラッター病脛骨粗面10〜15歳のスポーツ愛好者
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。