学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §7 体温とその調節 / QJ30A103

理由で解く 柔道整復師

QJ30A103 生理学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問103
問題
体温調節で正しいのはどれか。
選択肢
1 体温の調節中枢は延髄にある。
2 黄体ホルモンは体温を低下させる。
3 皮膚血管は環境温が下がると拡張する。
4 プロスタグランジンは体温上昇作用を持つ。
解答
正解4(プロスタグランジンは体温上昇作用を持つ。)
解説

プロスタグランジンE2(PGE2)は視床下部の体温調節中枢に働いて体温の設定値(セットポイント)を引き上げ、発熱を起こす。よって4が正しい。

体温調節中枢は視床下部の視索前野・前視床下部にあり、皮膚の温度受容器と深部(脳・腹腔内)の温度情報を受け取り、あらかじめ決められたセットポイントと比較して、産熱と放熱のバランスを調整する。感染が起こるとマクロファージなどからIL-1、IL-6、TNF-αといった内因性発熱物質(サイトカイン)が放出され、視床下部の血管周囲でシクロオキシゲナーゼ(COX)を介してPGE2が産生される。PGE2はセットポイントを高い側にずらすため、実際の体温は正常でも中枢は「低すぎる」と判断し、皮膚血管収縮・立毛・ふるえ(悪寒戦慄)で熱を溜め込み、体温が上昇する。解熱鎮痛薬(アスピリンやロキソプロフェンなど)がCOXを阻害してPGE2産生を抑えることで熱が下がる、という関係まで一続きで理解しておくと、臨床の場面でも応用が利く。

✓ 4. 正しい
プロスタグランジンは体温上昇作用を持つ。
とくにPGE2が視床下部の体温調節中枢に作用してセットポイントを上げ、産熱を増やし放熱を減らす方向へ体を動かす。発熱の最終的な引き金となる物質であり、COX阻害薬(解熱薬)の標的でもある。
✗ 1. 誤り
体温の調節中枢は延髄にある。
体温調節中枢は視床下部(視索前野・前視床下部)にある。延髄にあるのは呼吸中枢、心臓血管(循環)中枢、嘔吐中枢、咳中枢などである。視床下部は体温のほか、摂食・飲水・睡眠覚醒・下垂体を介した内分泌など、自律機能と本能行動の統合を担うと整理しておく。
✗ 2. 誤り
黄体ホルモンは体温を低下させる。
黄体ホルモン(プロゲステロン)は体温を上昇させる。排卵後に黄体から分泌が増えると基礎体温が約0.3〜0.5℃高い高温相となり、この体温の二相性が排卵の有無を推定する手がかりになる。「黄体期=高温相」と結びつけて覚える。
✗ 3. 誤り
皮膚血管は環境温が下がると拡張する。
環境温が下がると交感神経の働きで皮膚血管は収縮する。皮膚血流を減らして体表からの放熱を抑え、深部体温を守るためである。皮膚血管が拡張して放熱を増やすのは暑いときの反応であり、方向が逆になっている。
ポイント
  • 体温調節中枢は視床下部(視索前野・前視床下部)。延髄は呼吸・循環・嘔吐の中枢と区別する。
  • 発熱の流れ:感染 → IL-1・IL-6・TNF-αなど内因性発熱物質 → 視床下部でPGE2 → セットポイント↑ → 悪寒・ふるえ・皮膚血管収縮 → 体温上昇。
  • 解熱鎮痛薬はCOXを阻害してPGE2産生を減らし、セットポイントを戻す。だから発汗して熱が下がる。
  • プロゲステロン(黄体ホルモン)は体温を上げる。黄体期=基礎体温の高温相。
  • 寒いとき=皮膚血管収縮・立毛・ふるえ・非ふるえ熱産生(褐色脂肪、甲状腺ホルモン、アドレナリン)。暑いとき=皮膚血管拡張・発汗。
比較表
寒冷環境(体温を上げたい)暑熱環境(体温を下げたい)
皮膚血管収縮(放熱を減らす)拡張(放熱を増やす)
発汗抑制促進(気化熱で冷却)
骨格筋ふるえ(シバリング)で産熱活動を抑え産熱を減らす
ホルモン甲状腺ホルモン・アドレナリン増加(非ふるえ熱産生)とくに産熱を高めない
皮膚立毛(立毛筋収縮)
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