学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §1 総論 / QJ30A104

理由で解く 柔道整復師

QJ30A104 生理学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問104
問題
加齢に伴う変化はどれか。
選択肢
1 ミトコンドリア数の減少
2 細胞膜の流動性の増加
3 テロメアの増長
4 細胞分裂の増加
解答
正解1(ミトコンドリア数の減少)
解説

加齢に伴う細胞の変化は「減る・落ちる・短くなる・止まる」で方向がそろう。ミトコンドリアは数も機能も低下するため、1が正しい。

老化した細胞では、エネルギー産生の場であるミトコンドリアの数が減り、残ったものも活性酸素(フリーラジカル)による酸化的損傷を受けて酸化的リン酸化の効率が落ちる。ATP産生量の低下は、筋力低下・易疲労性・基礎代謝量の低下といった高齢者の全身的な特徴の土台になっている。細胞膜ではコレステロール含量の増加や膜脂質の過酸化により流動性が低下し、受容体の働きや物質輸送も鈍くなる。染色体末端のテロメアは細胞分裂のたびに短縮し、一定の長さまで縮むと細胞は分裂を停止して細胞老化に入る(ヘイフリック限界)。テロメアを伸ばす酵素テロメラーゼは生殖細胞・幹細胞・がん細胞では活性が高いが、多くの体細胞では活性が低い。「上がる・増える・伸びる」と書かれた選択肢は加齢の方向と逆と気づけば、この種の問題は素早く処理できる。

✓ 1. 正しい
ミトコンドリア数の減少
加齢とともにミトコンドリアは数が減り、質(酸化的リン酸化の効率)も低下する。ATP産生の低下が基礎代謝量の低下や筋機能の低下につながる。ミトコンドリアDNAは核DNAより活性酸素の影響を受けやすく損傷が蓄積しやすい点も、老化のミトコンドリア説の根拠とされる。
✗ 2. 誤り
細胞膜の流動性の増加
加齢では細胞膜の流動性は低下する。膜コレステロールの増加や不飽和脂肪酸の酸化により膜が硬くなり、受容体を介した情報伝達や膜輸送の効率も落ちる。増加ではなく低下と覚え直しておく。
✗ 3. 誤り
テロメアの増長
テロメアは細胞分裂のたびに短縮する。短縮が限界に達すると細胞は分裂を停止し、老化細胞となる。テロメアが伸びるのはテロメラーゼ活性の高い生殖細胞・幹細胞、そして無限に増殖するがん細胞であり、加齢に伴う通常の変化とは逆方向である。
✗ 4. 誤り
細胞分裂の増加
正常な体細胞が分裂できる回数には上限があり(ヘイフリック限界)、加齢に伴い分裂能は低下する。組織の再生・修復が遅くなる、創傷治癒が遷延するといった高齢者の特徴はここに由来する。増加ではなく減少の方向で押さえる。
ポイント
  • 加齢の細胞レベルの変化は方向がそろう:ミトコンドリア数↓、細胞膜の流動性↓、テロメア短縮、細胞分裂能↓。
  • テロメアは分裂ごとに短縮する。テロメラーゼ活性が高いのは生殖細胞・幹細胞・がん細胞。
  • ヘイフリック限界=正常体細胞の分裂回数には上限がある、という考え方。
  • 老化の主な学説:フリーラジカル(活性酸素)説とミトコンドリア機能低下説。両者はミトコンドリアDNA損傷を介してつながる。
  • 個体レベルでは基礎代謝量・細胞内水分量・予備力・恒常性維持能が低下する。施術では回復に時間がかかる前提で計画を立てる。
比較表
項目若い細胞老化した細胞
ミトコンドリア数が多く機能も高い数が減り、酸化損傷で機能低下
細胞膜の流動性高い低い(膜が硬くなる)
テロメア長い短い(分裂ごとに短縮)
細胞分裂活発停止・低下(細胞老化)
活性酸素・老廃物処理が追いつく蓄積する(リポフスチンなど)
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