学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §7 体温とその調節 / QJ32A105

理由で解く 柔道整復師

QJ32A105 生理学

出典:第32回柔道整復師国家試験(2024)午前 問105
問題
暑熱環境に曝露されたときに起こるのはどれか。
選択肢
1 立毛筋の収縮
2 皮膚血管の収縮
3 四肢骨格筋のふるえ
4 エクリン汗腺からの分泌増加
解答
正解4(エクリン汗腺からの分泌増加)
解説

暑熱環境では体温を下げるために放熱が促進されます。汗の蒸発は体温調節の主力であり、正解は4のエクリン汗腺からの分泌増加です。

体温調節の中枢は視床下部の視索前野・前視床下部にあり、皮膚の温度受容器と血液温の情報をもとに、産熱と放熱のバランスを一定の設定値へ合わせています。暑熱に曝されると、皮膚血管を締めていた交感神経性血管収縮神経の活動が下がって皮膚血管が拡張し、体表の血流が増えて輻射・対流による放熱が高まります。それでも足りないときに働くのが発汗で、交感神経のコリン作動性線維がアセチルコリンを放出し、全身に分布するエクリン汗腺から汗が出ます。汗は皮膚上で蒸発するときに気化熱(水1 gあたり約0.58 kcal)を奪うため、気温が体温より高い環境でも唯一有効な放熱手段になります。逆に寒冷環境では、皮膚血管の収縮・立毛筋の収縮で放熱を抑え、ふるえ産熱や非ふるえ産熱で熱をつくります。「暑い=熱を捨てる/寒い=熱を逃がさず作る」で全肢が仕分けできます。

✓ 4. 正しい
エクリン汗腺からの分泌増加
エクリン汗腺はほぼ全身の皮膚に分布し、交感神経節後線維がアセチルコリンを放出して分泌を促します(交感神経でありながらコリン作動性という点が特徴です)。分泌された汗が蒸発するときに気化熱を奪うことで体温が下がるため、暑熱環境での放熱の主役になります。腋窩や外陰部に限局するアポクリン汗腺は体温調節にはほとんど寄与しない、という対比も押さえておきましょう。
✗ 1. 誤り
立毛筋の収縮
立毛筋の収縮(いわゆる鳥肌)は寒冷曝露時に交感神経のアドレナリン作動性線維がα1受容体を介して起こす反応で、体毛を立てて空気の層をつくり放熱を防ぐ意義があります。暑熱環境では起こりません。「鳥肌が立つのは寒いとき」という日常の感覚をそのまま寒冷側の指標として使ってください。
✗ 2. 誤り
皮膚血管の収縮
皮膚血管の収縮は体表からの熱の逃げを減らすための寒冷時の反応です。暑熱環境では逆に交感神経性血管収縮神経の活動が低下して皮膚血管が拡張し、皮膚血流が増えて熱を体表へ運びます。暑いときに顔や手が赤くなる、寒いときに青白くなる、という見た目の変化と結びつけて方向を覚えましょう。
✗ 3. 誤り
四肢骨格筋のふるえ
ふるえは骨格筋の不随意な律動収縮によって熱を生み出す寒冷時の産熱反応(ふるえ産熱)で、暑熱環境で体温を下げたい場面では抑制されます。ふるえによらない産熱としては褐色脂肪組織や甲状腺ホルモン・カテコールアミンによる代謝亢進(非ふるえ産熱)があり、これも寒冷側です。産熱の項目が並んでいたら寒冷、放熱の項目なら暑熱、と分類してから選ぶと確実です。
ポイント
  • 体温調節中枢は視床下部(視索前野・前視床下部)。設定値に向けて産熱と放熱を調節する。
  • 暑熱時の反応=放熱促進:皮膚血管拡張、発汗(エクリン汗腺)、産熱の抑制。
  • 寒冷時の反応=放熱抑制と産熱:皮膚血管収縮、立毛筋収縮、ふるえ産熱、非ふるえ産熱(褐色脂肪・甲状腺ホルモン)。
  • エクリン汗腺は交感神経のコリン作動性線維(アセチルコリン)支配。全身に分布し体温調節を担う。
  • 気温が体温より高い環境では、蒸発(発汗)だけが有効な放熱手段になる。
比較表
反応暑熱環境寒冷環境
皮膚血管拡張(放熱を増やす)収縮(放熱を減らす)
エクリン汗腺分泌増加(蒸発で気化熱を奪う)分泌減少
立毛筋変化しない収縮(鳥肌)
骨格筋のふるえ起こらない起こる(ふるえ産熱)
代謝・産熱抑制される亢進(非ふるえ産熱を含む)
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。