学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §19 肘関節後方脱臼の診察および整復 / QJ30A021

理由で解く 柔道整復師

QJ30A021 必修問題

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問21
問題
肘関節後方脱臼の整復法で正しいのはどれか。
選択肢
1 肘関節を伸展位にする。
2 回内・回外中間位で牽引をする。
3 前腕長軸方向に牽引する。
4 肘関節を過伸展して整復を確認する。
解答
正解3(前腕長軸方向に牽引する。)
解説

肘関節後方脱臼の整復は、肘を軽度屈曲位・前腕回外位とし、前腕の長軸方向へ牽引して鉤状突起を滑車の前方へ戻すのが基本です。過伸展させる操作は行いません。

後方脱臼は、肘を伸展位にして手をついた際に、尺骨鉤状突起が上腕骨滑車を後方へ乗り越え、前腕が後上方へ転位して起こります。整復では助手が上腕を把持して逆牽引をかけ、術者は前腕近位部を持って長軸方向に持続的な牽引を加えながら、肘頭を前遠位方向へ押し、同時に肘を徐々に屈曲していきます。このとき肘を軽度屈曲位・前腕回外位に保つと上腕二頭筋や前方関節包の緊張が減り、鉤状突起が滑車を乗り越えやすくなります。整復されると弾発性固定が消失し、内側上顆・外側上顆・肘頭がつくるヒューター三角が正常な二等辺三角形に戻り、自動での屈伸と前腕回内外が可能になります。確認のために肘を過伸展させると、前方の関節包や上腕動脈・正中神経・尺骨神経を痛めたり再脱臼を招くおそれがあるため、可動域の確認は愛護的な範囲にとどめます。整復後は肘関節屈曲90度前後で固定し、末梢の循環・知覚・運動を必ず確認したうえで、骨折の合併を否定するため医師の画像評価につなげます。

✓ 3. 正しい
前腕長軸方向に牽引する。
上腕を逆牽引で固定したうえで、前腕の長軸方向へ持続牽引をかけることで、上腕三頭筋や関節包による短縮を解いて骨端間に間隙をつくります。この牽引があってはじめて、肘頭を前方へ押し出す操作と屈曲によって鉤状突起が滑車を越えて整復されます。
✗ 1. 誤り
肘関節を伸展位にする。
伸展位のままでは前方の関節包や上腕二頭筋の緊張が強く、鉤状突起を滑車の前方へ導きにくくなります。牽引は軽度屈曲位で開始し、牽引を保ちながら徐々に屈曲を加えていくのが原則です。
✗ 2. 誤り
回内・回外中間位で牽引をする。
牽引時の前腕は回外位とします。回外位にすることで上腕二頭筋の緊張が緩み、また橈骨頭・鉤状突起を整復方向へ導きやすくなるためです。中間位や回内位では軟部組織の緊張が残り、整復が難しくなります。
✗ 4. 誤り
肘関節を過伸展して整復を確認する。
過伸展は前方関節包や血管・神経の損傷、再脱臼の原因になるため行いません。整復の確認は、弾発性固定の消失、ヒューター三角の正常化、愛護的な範囲での自動屈伸と前腕回内外の可否で行い、屈曲90度前後で固定して末梢の循環・知覚・運動をチェックします。
ポイント
  • 受傷機転は肘伸展位での手つき。鉤状突起が滑車を後方へ越え、前腕が後上方へ転位する。
  • 整復の型は「上腕を逆牽引 → 前腕を軽度屈曲・回外位で長軸牽引 → 肘頭を前遠位へ押す → 徐々に屈曲」。
  • 回外位にするのは上腕二頭筋・前方関節包の緊張を抜くため。中間位・回内位では整復しにくい。
  • 整復確認は弾発性固定の消失とヒューター三角の正常化。過伸展での確認は行わない
  • 整復後は屈曲90度前後で固定し、末梢の循環・知覚・運動を確認。合併骨折(鉤状突起・橈骨頭・上顆)の否定のため医師の画像評価へつなぐ。
比較表
操作の要素行うこと避けること
肘の肢位軽度屈曲位から開始し、牽引しながら屈曲を加える伸展位のまま牽引する
前腕の肢位回外位回内位・回内回外中間位
牽引前腕長軸方向へ持続牽引(上腕は逆牽引で固定)短時間の急激な牽引
整復の確認弾発性固定の消失、ヒューター三角の正常化、愛護的な自動屈伸過伸展を強いる確認
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。