学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §19 肘関節後方脱臼の診察および整復 / QJ29A017

理由で解く 柔道整復師

QJ29A017 必修問題

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問17
問題
肘関節後方脱臼で誤っているのはどれか。
選択肢
1 幼少年期に好発する。
2 前腕長が短縮する。
3 前方関節包が損傷する。
4 後療法は自動運動を基本とする。
解答
正解1(幼少年期に好発する。)
解説

肘関節後方脱臼は青壮年に好発し、幼少年期には少ない。1が設問の答え。

肘関節後方脱臼は、肘を伸展位にして手をついた際に肘頭が肘頭窩に突き当たって支点となり、前方の関節包が破れて尺骨・橈骨が後方へ押し出されて起こる。全身の脱臼のなかでも頻度が高く、スポーツ外傷として10代後半から青壮年に多い。一方、幼少年期は骨端軟骨や骨自体が靱帯より弱いため、同じ外力を受けると脱臼ではなく上腕骨顆上骨折や骨端線損傷になりやすく、脱臼の頻度は相対的に低い(この年代の肘外傷の代表は肘内障)。外観は肘頭の後方突出、上腕三頭筋腱の索状緊張、前腕の短縮、ヒューター三角の乱れが特徴となる。肘頭が後方に突出していても、ヒューター三角が保たれていれば上腕骨顆上骨折を考える。

✓ 1. これが誤り(正解)
幼少年期に好発する。
好発は青壮年。幼少年期は骨端軟骨が弱く、同じ外力で上腕骨顆上骨折や骨端線損傷になりやすいため脱臼は少ない。
✗ 2. 正しい記述(答えではない)
前腕長が短縮する。
前腕が後方へ移動するため、上腕長は変わらず前腕だけが短く見える。ヒューター三角の乱れとあわせて診る。
✗ 3. 正しい記述(答えではない)
前方関節包が損傷する。
過伸展が強制されることで前方の関節包が断裂し、前腕が後方へ抜ける。受傷機転から導ける所見。
✗ 4. 正しい記述(答えではない)
後療法は自動運動を基本とする。
他動的な強制伸展や強いマッサージは骨化性筋炎(異所性骨化)や関節拘縮の誘因になる。自動運動を中心に、痛みの範囲で段階的に進める。
ポイント
  • 肘関節後方脱臼は全身の脱臼で頻度が高く、好発は青壮年(スポーツ外傷)。
  • 幼少年期は上腕骨顆上骨折・骨端線損傷が起こりやすく、肘外傷の代表は肘内障。
  • 受傷機転は肘伸展位での手つき。肘頭が支点となり前方関節包が断裂する。
  • 所見:肘頭の後方突出、上腕三頭筋腱の索状緊張、前腕の短縮、ヒューター三角の乱れ。
  • 肘頭後方突出があってもヒューター三角が正常なら上腕骨顆上骨折、乱れていれば後方脱臼を疑う。
  • 後療法は自動運動が基本。他動的強制運動は骨化性筋炎・拘縮を招く。
比較表
年代代表的な肘外傷理由
幼児(1〜4歳)肘内障輪状靱帯が緩く橈骨頭が抜けやすい
学童期上腕骨顆上骨折骨端軟骨・骨が靱帯より弱い
青壮年肘関節後方脱臼靱帯より関節包が破綻しやすい
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