学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §21 肘内障の診察および整復 / QJ29A018

理由で解く 柔道整復師

QJ29A018 必修問題

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問18
問題
肘内障の所見で正しいのはどれか。
選択肢
1 橈骨頭の位置異常
2 腕橈関節部に軋轢音
3 損傷部のびまん性腫脹
4 回外強制でのバネ様抵抗感
解答
正解4(回外強制でのバネ様抵抗感)
解説

肘内障は橈骨頭が輪状靱帯から亜脱臼し、輪状靱帯の一部が腕橈関節に挟み込まれた状態で、他動的に前腕回外を強制すると抵抗感と痛みが出る。正しいのは4。

2〜4歳ごろの幼児に多く、手や前腕を急に引っ張られたときに起こる。受傷後は前腕回内・肘軽度屈曲位で上肢を下垂したまま動かそうとせず、「腕を使わない」ことが最大の手がかりになる。骨折と違って腫脹・変形・皮下出血はほとんど認めず、X線でも明らかな所見が出ないことが多い。逆に、腫脹が目立つ、局所に軋轢音や異常可動性がある、高所からの転落など強い外力があった場合は上腕骨顆上骨折などを疑い、自己判断で整復せず医師の診察につなぐ。整復は回外法や回内法で行い、成功すると橈骨頭部にクリック(弾発音)を触れ、直後から患肢を自然に使い始める。

✗ 1. 誤り
橈骨頭の位置異常
亜脱臼といっても橈骨頭のずれはごくわずかで、視診・触診で分かるような位置異常や変形は認めない。画像でも明らかな転位を指摘できないことが多い。
✗ 2. 誤り
腕橈関節部に軋轢音
軋轢音は骨折端どうしが擦れ合うときの所見で、肘内障では生じない。整復時に触れるのは輪状靱帯が戻る瞬間のクリック(弾発音)であり、軋轢音とは性質が異なる。軋轢音を触れるなら骨折を疑って医師へつなぐ。
✗ 3. 誤り
損傷部のびまん性腫脹
肘内障では腫脹はほとんど認めない。びまん性の腫脹があるときは骨折や関節内損傷を考える所見であり、肘内障の診断を支持するものではない。
✓ 4. 正しい
回外強制でのバネ様抵抗感
輪状靱帯が腕橈関節に挟まっているため、他動的に前腕を回外させようとすると途中で弾力のある抵抗を感じ、患児は痛みを訴える。自動的にも回外しようとしない。回内位で上肢を下垂した肢位と合わせて、肘内障を強く示唆する所見である。
ポイント
  • 肘内障=橈骨頭の亜脱臼+輪状靱帯の腕橈関節への嵌入。2〜4歳ごろ、手を引っ張られて発生する。
  • 典型肢位は前腕回内・肘軽度屈曲で上肢を下垂し、患肢を使わない。
  • 他動的な回外強制でバネ様の抵抗感と疼痛が出る。これが本問の正解所見。
  • 腫脹・変形・皮下出血・軋轢音は認めない。これらがあれば上腕骨顆上骨折などを疑い、医師の診察につなぐ。
  • 整復成功時は橈骨頭部にクリックを触れ、直後から患肢を自然に使い始める。
比較表
所見肘内障肘周辺の骨折(顆上骨折など)
好発年齢2〜4歳学童期に多い
受傷機転手を引っ張られる(牽引)転倒・転落(強い外力)
腫脹・変形ほとんどなしあり(著明なことが多い)
軋轢音・異常可動性なしあり得る
回外強制バネ様抵抗感+疼痛強い疼痛(部位は骨折部)
画像所見明らかな異常を認めにくい骨折線・転位を認める
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