学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ29P121

理由で解く 柔道整復師

QJ29P121 柔道整復理論

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問121
問題
16歳の男子。陸上部に所属している。練習中の膝屈伸時に膝関節部に疼痛を訴え来所した。特に既往はないが、膝蓋骨内側に圧痛がみられ屈伸に伴いクリックを触知する。その他の部位に圧痛はなく、視診で目立った下肢の変形もみられない。考えられるのはどれか。
選択肢
1 鵞足炎
2 滑膜ヒダ障害
3 ジャンパー膝
4 腸脛靱帯炎
解答
正解2(滑膜ヒダ障害)
解説

膝蓋骨内側に限局した圧痛と、屈伸に伴って触れるクリックが決め手です。滑膜ヒダ障害(いわゆるタナ障害)が考えられます。

滑膜ヒダは胎生期に膝関節腔を仕切っていた隔壁が完全に吸収されずに残ったもので、膝蓋上ヒダ、膝蓋内側ヒダ、膝蓋下ヒダなどがあります。障害を起こすのはほとんどが膝蓋内側ヒダで、膝蓋骨の内側縁と大腿骨内側顆のあいだに位置します。膝を屈伸すると、およそ30〜60度あたりでこのヒダが膝蓋骨と大腿骨内側顆に挟み込まれ、乗り越える瞬間にクリックや弾発として触れます。挟み込みが繰り返されるとヒダ自体が肥厚・硬化し、炎症と圧痛を生じます。陸上部のようにランニングや屈伸を反復する競技、あるいは膝前内側の打撲がきっかけになります。対応は、まず一時的に走行距離や屈伸の反復を減らして炎症を鎮め、冷却を行うことです。並行して大腿四頭筋、とくに内側広筋の機能を高め、大腿後面・腸脛靱帯・大腿四頭筋のストレッチで膝蓋骨まわりの緊張をゆるめます。症状が長引く、関節水腫やロッキングを伴う場合は半月板損傷などとの鑑別が必要なので医療機関につなぎます。

✓ 2. 正しい
滑膜ヒダ障害
膝蓋骨内側の圧痛と屈伸時のクリックという2所見は、膝蓋内側ヒダが膝蓋骨と大腿骨内側顆のあいだに挟み込まれていることを直接示しています。他部位に圧痛がなく下肢の変形もみられないという記載も、局所的な軟部組織の挟み込みという病態と矛盾しません。
✗ 1. 誤り
鵞足炎
縫工筋・薄筋・半腱様筋が合わさって脛骨近位内側に停止する部分(鵞足)の炎症で、圧痛は関節裂隙より遠位の脛骨内側にあります。膝蓋骨内側という位置とはずれており、クリックを触知するのも特徴ではありません。
✗ 3. 誤り
ジャンパー膝
膝蓋靱帯(膝蓋腱)の付着部障害で、圧痛は膝蓋骨下極から膝蓋靱帯にかけて出ます。ジャンプや着地、ダッシュの繰り返しで発症し、膝蓋骨内側の圧痛やクリックとは所見が異なります。
✗ 4. 誤り
腸脛靱帯炎
ランナー膝とも呼ばれ、腸脛靱帯が大腿骨外側上顆を乗り越える際の摩擦で生じます。圧痛は膝の外側、大腿骨外側上顆部にあり、内側に圧痛がある本症例とは部位が正反対です。
ポイント
  • 膝の使いすぎ障害は圧痛点の位置で切り分けるのが最短ルート。
  • 膝蓋骨内側の圧痛+屈伸時のクリック・弾発 → 滑膜ヒダ障害(膝蓋内側ヒダ)。
  • 滑膜ヒダは胎生期の関節腔隔壁の遺残。膝蓋上・膝蓋内側・膝蓋下があり、障害の大半は膝蓋内側ヒダ。
  • 挟み込みは屈伸のおよそ30〜60度で起こりやすい。屈伸の反復が誘因になる。
  • 関節裂隙の圧痛やロッキングを伴うなら半月板損傷(マックマレーテストなど)を鑑別に加える。
比較表
疾患圧痛部位誘因となる動作特徴的所見
滑膜ヒダ障害膝蓋骨内側縁〜大腿骨内側顆屈伸の反復、ランニング屈伸時のクリック・弾発
鵞足炎脛骨近位内側(関節裂隙より遠位)ランニング、キック動作停止部に限局した圧痛・腫脹
ジャンパー膝膝蓋骨下極〜膝蓋靱帯ジャンプ・着地・ダッシュ伸展抵抗時の疼痛
腸脛靱帯炎大腿骨外側上顆部(外側)長距離走、下り坂グラスピングテスト陽性
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