学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ29P122
理由で解く 柔道整復師

指を床に引っ掛けて過伸展と尺側への強制を受けた受傷機転で、手を握らせた肢位の写真が提示されています。この肢位は指の回旋転位を確かめるためのもので、損傷部位は基節骨と考えられます。
手指を軽く握り込むと、それぞれの指の指軸は扇のように収束し、いずれも手根部の舟状骨結節のあたりに向かいます。この収束は健常な手ではきれいにそろうため、骨折によってわずかでも回旋転位が生じると収束が崩れ、隣の指と重なって見えます(オーバーラッピングフィンガー)。だから手指骨折を診るとき、握り込ませた肢位で指軸を確認するのは回旋転位を見逃さないための基本手順です。基節骨は手指の骨折のなかでも頻度が高く、しかも転位を残しやすい部位です。近位骨片は骨間筋に引かれて屈曲し、遠位骨片は伸筋腱の中央索に引かれて伸展するため、掌側に凸の変形と回旋転位が生じます。指を引っ掛けて過伸展と側方(尺側)への強制が加わるという本症例の機転は、この部位に骨折を生じる典型的な力の入り方です。回旋変形はわずか数度でも指尖では大きなずれとなって握り動作を妨げるため、必ず矯正します。整復後は隣接指とそろえて指軸の収束を確認し、MP関節を70〜90度屈曲位、IP関節を伸展位(0〜ごく軽度屈曲)とするintrinsic plus肢位(=安全肢位)で固定します。関節ごとに角度が違うのには理由があります。MP関節の側副靱帯は屈曲位で最も伸張されるため、屈曲位で固定しておけば靱帯が短縮せず伸展拘縮を防げますが、MP関節を伸展位で固定すると側副靱帯が弛緩したまま短縮して拘縮を招きます。IP関節は逆に伸展位で側副靱帯・掌側板が伸張されるので、伸展位で固定してPIP関節の屈曲拘縮を防ぎます(IP関節を屈曲位で固定するのは、むしろ拘縮をつくる肢位です)。整復位が保てない、あるいは関節内に及ぶ骨折が疑われる場合は医師の診察につなぎます。
| 部位 | 代表的な受傷機転 | 変形をつくる牽引力 | 特徴的な所見 |
|---|---|---|---|
| 中手骨(頸部) | 拳での殴打、直達外力 | 骨間筋による骨頭の掌側転位 | ナックル(中手骨頭の隆起)の消失 |
| 基節骨 | 指の引っ掛け、過伸展・側方強制 | 近位=骨間筋で屈曲/遠位=中央索で伸展 | 掌側凸変形、握り込みでの回旋転位 |
| 中節骨 | PIP関節への軸圧・過伸展 | 浅指屈筋・中央索の付着位置で変形が変わる | PIP関節周囲の腫脹・脱臼骨折を伴うことがある |
| 末節骨 | 圧挫、突き指 | 伸筋腱終止腱・深指屈筋腱の裂離 | マレット指(DIP自動伸展不能)、爪下血腫 |
| 関節 | 安全肢位(intrinsic plus)の角度 | その角度にする理由 | 避けるべき固定肢位 |
|---|---|---|---|
| MP関節 | 70〜90度屈曲 | 側副靱帯が最も伸張される肢位で、靱帯の短縮を防げる | 伸展位(側副靱帯が短縮し拘縮を招く) |
| PIP・DIP(IP)関節 | 伸展位(0〜ごく軽度屈曲) | 側副靱帯・掌側板が伸張され、屈曲拘縮を防げる | 屈曲位(PIP屈曲拘縮を残す) |
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