学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ29P114

理由で解く 柔道整復師

QJ29P114 柔道整復理論

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問114
問題
21歳の男性。大学では柔道部に所属し、毎日稽古を行っている。最近、試合が近いこともあり稽古量を増やしたところ、左足の外側に痛みを感じたため来所した。単純エックス線写真(別冊 No. 2)を別に示す。正しいのはどれか。
図
選択肢
1 発生に短腓骨筋が関与する。
2 足関節の内反強制で発生する。
3 距骨の前方動揺性を認める。
4 観血療法の適応が多い。
解答
正解4(観血療法の適応が多い。)
解説

柔道の稽古量を増やしてから生じた左足外側部痛で、第5中足骨近位部の疲労骨折(ジョーンズ骨折)を考える。血行に乏しく癒合しにくいため、競技者では観血療法が選ばれることが多い。

ジョーンズ骨折は第5中足骨粗面より遠位、第4・第5中足骨基部間関節のあたりに生じる骨折で、方向転換や踏み込みの繰り返しによって足部外側に負荷が集中して発生する。この部位は栄養血管の分布が乏しく血行が悪いため、保存療法では癒合が遅れたり、偽関節や再骨折を起こしやすい。そのため競技への復帰を要する例では、早期から髄内スクリュー固定などの観血療法が選択されることが多い。同じ第5中足骨近位でも、粗面部が短腓骨筋腱に引きはがされて生じる裂離骨折(下駄骨折)とは、発生機序も治りやすさも異なる点を必ず区別する。柔道整復師としては、限局した圧痛と経過から本症を疑ったら、自己判断で施術を続けず医師の画像評価につなぐ判断が重要になる。

✓ 4. 正しい
観血療法の適応が多い。
提示された単純エックス線写真と、稽古量を増やしてから左足外側が痛むという経過から、第5中足骨近位部の疲労骨折(ジョーンズ骨折)を考える。この部位は血行が乏しく癒合遅延・偽関節・再骨折が多いため、とくに競技者では髄内スクリュー固定などの観血療法が選ばれることが多い。
✗ 1. 誤り
発生に短腓骨筋が関与する。
短腓骨筋腱が停止するのは第5中足骨粗面で、その牽引によって生じるのは下駄骨折(粗面部の裂離骨折)である。ジョーンズ骨折は粗面より遠位に生じ、腱の付着部ではないため短腓骨筋の牽引が直接の原因とはならない。
✗ 2. 誤り
足関節の内反強制で発生する。
内反強制による一度の外力で粗面が引きはがされるのは下駄骨折の機序である。本例は稽古量を増やしてから徐々に痛み出しており、反復する外側荷重ストレスによる疲労骨折として考える。
✗ 3. 誤り
距骨の前方動揺性を認める。
距骨の前方動揺性(前方引き出しテスト陽性)は前距腓靱帯を中心とする足関節外側靱帯損傷でみられる所見である。中足骨の骨折では関節の動揺性は生じない。
ポイント
  • ジョーンズ骨折=第5中足骨粗面より遠位(第4・5中足骨基部間関節付近)の骨折。
  • 血行が乏しく癒合遅延・偽関節・再骨折が多い。競技者では観血療法(髄内スクリュー固定など)が多い。
  • 下駄骨折=粗面部の裂離骨折。短腓骨筋腱の牽引+足関節内反強制で発生し、保存療法で癒合しやすい。
  • 足関節の前方動揺性は外側靱帯(前距腓靱帯)損傷の所見であり、中足骨骨折とは別。
  • 「徐々に痛む+競技の負荷増加」は疲労骨折を示すキーワード。医師の画像評価につなぐ。
比較表
項目ジョーンズ骨折下駄骨折(第5中足骨粗面裂離骨折)
部位粗面より遠位(骨幹部近位)粗面部
機序反復する外側荷重ストレス(疲労骨折)足関節内反強制による短腓骨筋腱の牽引(裂離)
経過徐々に発症することが多い受傷の瞬間がはっきりしている
血行・癒合乏しく癒合しにくい。偽関節・再骨折が多い比較的良好で癒合しやすい
治療競技者では観血療法が多い保存療法が中心
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