学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ29P110

理由で解く 柔道整復師

QJ29P110 柔道整復理論

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問110
問題
30歳の男性。実力の同じ相手と腕相撲をしていて「バキッ」という音・とともに上腕部に限局性圧痛と腫脹が出現した。考えられるのはどれか。
選択肢
1 縦骨折
2 螺旋状骨折
3 斜骨折
4 横骨折
解答
正解2(螺旋状骨折)
解説

腕相撲では上腕骨に長軸まわりの強い捻り(捻転力)が加わる。捻転力で生じる骨折型は螺旋状骨折である。

骨折の型は、加わった外力の種類でほぼ決まる。柔道整復学では外力の働き方を屈曲力・圧迫力・剪断力・捻転力・牽引力に分け、屈曲力は横骨折(第3骨片を伴うことがある)、圧迫力は斜骨折・縦骨折・噛合骨折・陥凹骨折、剪断力は横骨折、捻転力は螺旋状骨折、牽引力は裂離骨折を生じるとされる。上腕骨骨幹部は、前腕を介して長軸まわりの捻転力を受けると骨折線がらせんを描く螺旋状骨折となり、好発部位は中1/3〜下1/3である。腕相撲や投球で起こる典型的な介達外力の骨折で、直接ぶつけていないのに折れるのが特徴である。受傷時の「バキッ」という断裂音、限局性圧痛、腫脹はいずれも骨折を強く疑う所見であり、続いて異常可動性・軋轢音・転位による変形を慎重に確認する。とくに上腕骨中下1/3では橈骨神経が骨面に密着して走るため、下垂手や手背橈側のしびれの有無を必ず調べる(合併しやすいホルスタイン・ルイス骨折)。上腕を副子と三角巾で安静に保ち、速やかに医療機関へ紹介する。

✓ 2. 正しい
螺旋状骨折
捻転力(回旋力)によって生じる骨折型で、骨折線が骨をらせん状に取り巻く。腕相撲は前腕を介して上腕骨に捻転力が集中する典型的な状況であり、限局性圧痛と腫脹を伴う上腕骨骨幹部の螺旋状骨折を考える。
✗ 1. 誤り
縦骨折
骨の長軸方向に骨折線が走る型で、長軸方向の圧迫力によって生じるまれな骨折である。捻転力が主体の腕相撲の受傷機転では起こりにくい。
✗ 3. 誤り
斜骨折
骨の長軸に対して斜めに骨折線が走る型で、主として長軸方向の圧迫力によって生じる(国家試験では「圧迫力によって生じる骨折はどれか」の答えとして繰り返し問われている)。捻転力が主体の場合は骨折線がらせんを描くため、螺旋状骨折として区別される。
✗ 4. 誤り
横骨折
長軸に対してほぼ直角に骨折線が走る型で、屈曲力または剪断力によって生じる。屈曲力による場合は凸側から折れて第3骨片(蝶形骨片)を伴うことがある。本症例は捻転力が主体の受傷機転であり、合致しない。
ポイント
  • 外力の働き方と骨折型の対応:捻転力=螺旋状骨折、屈曲力=横骨折(第3骨片を伴うことがある)、圧迫力=斜骨折・縦骨折・噛合骨折・陥凹骨折、剪断力=横骨折、牽引力=裂離骨折。
  • 「圧迫力によって生じる骨折はどれか→斜骨折」は繰り返し問われる定番。斜骨折を屈曲力と結びつけないこと。
  • 外力の「種類」(屈曲・圧迫・剪断・捻転・牽引)と「伝達経路」(直達外力・介達外力)は別の分類軸。混同しない。
  • 腕相撲・投球による上腕骨骨幹部(中下1/3)の螺旋状骨折は、捻転力が介達外力として働いた代表例。
  • 受傷時の断裂音、限局性圧痛、腫脹、異常可動性、軋轢音で骨折を評価する。
  • 上腕骨中下1/3の骨折では橈骨神経麻痺(下垂手・手背橈側のしびれ)の有無を必ず確認する。疑ったら副子固定と三角巾で安静を確保し、速やかに医療機関へつなぐ。
比較表
骨折型主な外力(働き方)骨折線代表的な例
螺旋状骨折捻転力らせん状に骨を取り巻く腕相撲・投球による上腕骨骨幹部骨折
斜骨折圧迫力(長軸方向)長軸に斜め圧迫力で生じる骨折の代表
横骨折屈曲力・剪断力長軸にほぼ直角屈曲力では第3骨片(蝶形骨片)を伴うことがある
縦骨折圧迫力(長軸方向)長軸方向まれ
噛合骨折・陥凹骨折圧迫力骨片が噛み合う/陥凹する骨端部の圧迫、頭蓋骨の陥凹
裂離骨折牽引力腱・靱帯付着部が引き離される上腕骨内側上顆、第5中足骨粗面

※上表は外力の種類(働き方)による分類である。これとは別に、外力の伝達経路による分類として直達外力・介達外力があり、両者は別の軸なので1つにまとめない。本症例は「捻転力」が「介達外力」として伝わって生じた螺旋状骨折にあたる。

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