学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ29P109

理由で解く 柔道整復師

QJ29P109 柔道整復理論

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問109
問題
28歳の男性。バスケットボールの試合で着地した際、左膝関節を負傷した。左膝に不安定性はないが、内側部に軽度疼痛があり、図に示す固定処置を行った。処置後の循環確認で正しいのはどれか。
図
選択肢
1 スカルパ三角部での拍動
2 腓腹筋筋腹の圧迫
3 膝窩部での拍動
4 足爪床部の圧迫
解答
正解4(足爪床部の圧迫)
解説

固定後の循環確認は、固定した部位より末梢(遠位)で行うのが原則である。膝の固定であれば足趾の爪床を圧迫して色調の戻りをみる。

固定による循環障害は、包帯や副子の圧迫で静脈還流が妨げられ、進むと動脈血流も減ることで起こる。異常は必ず固定部位より遠位に現れるので、確認も遠位で行う。爪床を数秒間圧迫して離し、白くなった色が2秒前後で戻るか(毛細血管再充満)をみる方法は、固定材料を外さずに何度でも繰り返せて簡便である。あわせて疼痛の増強・しびれ・冷感・皮膚色(蒼白やチアノーゼ)・腫脹を確認し、変化があればためらわずに包帯を緩めて巻き直す。本症例は膝の不安定性がなく内側部に軽度の疼痛があるだけなので、固定は膝周囲に及ぶ範囲で行われる。固定の具体的な方法や範囲がどうであっても、循環確認は足趾で行うという原則は変わらない。患者本人にも爪床圧迫での確認方法と、異常時にすぐ連絡する旨を必ず指導しておく。

✓ 4. 正しい
足爪床部の圧迫
固定より末梢にある足趾の爪床を圧迫し、離したあとの色の戻り(毛細血管再充満)をみる。固定を外さずに評価でき、患者自身にも教えられる。膝の固定による循環障害を最も早く反映する部位である。
✗ 1. 誤り
スカルパ三角部での拍動
大腿三角での大腿動脈の拍動をみる方法だが、この部位は膝の固定より中枢(近位)にある。末梢で循環障害が起きていても拍動は保たれるため、固定の締めすぎを判定する所見にはならない。
✗ 2. 誤り
腓腹筋筋腹の圧迫
下腿三頭筋を握ったときの疼痛は、深部静脈血栓症などを疑う際に参考にする所見であって、固定直後に行う循環確認の手順ではない。動脈血流や毛細血管の充満状態を直接示すものでもない。
✗ 3. 誤り
膝窩部での拍動
膝窩動脈は深部を走り健常者でも触知しにくいうえ、膝の固定では包帯や副子に覆われる位置にある。末梢の循環状態を反映しないため、確認部位として適さない。
ポイント
  • 循環確認は必ず固定より末梢で行う。中枢側の拍動は固定による障害を反映しない。
  • 基本手技は爪床圧迫による毛細血管再充満の確認。目安はおよそ2秒以内の色調回復。
  • あわせて疼痛・蒼白・脈拍・感覚異常・運動麻痺(5P)をチェックする。
  • 異常があればすぐ包帯を緩めて巻き直し、改善しなければ医療機関へ紹介する。
  • 初回固定後だけでなく、腫脹が増す受傷当日〜翌日の再確認と、患者本人への自己確認指導が重要。
比較表
確認部位固定部との位置関係何を見ているか循環確認として
足爪部の圧迫末梢(遠位)毛細血管再充満適する
スカルパ三角(大腿動脈)中枢(近位)大腿動脈の拍動適さない
膝窩部(膝窩動脈)固定部と同高位・深部膝窩動脈の拍動適さない
腓腹筋筋腹の圧迫末梢だが把握痛(静脈血栓など)循環確認の手順ではない
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