学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §22 各論(軟部組織損傷) 上肢 / QJ28P102

理由で解く 柔道整復師

QJ28P102 柔道整復理論

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午後 問102
問題
肘部管症候群の症状で正しいのはどれか。
選択肢
1 感覚障害はない。
2 フローマン徴候は陽性となる。
3 下垂指が出現する。
4 母指対立筋の筋力低下が生じる。
解答
正解2(フローマン徴候は陽性となる。)
解説

正しいのは2です。肘部管症候群は尺骨神経の絞扼で、母指内転筋の筋力低下によりフローマン徴候が陽性となります。

尺骨神経は上腕骨内側上顆の後方を通り、オズボーン靱帯と尺側手根屈筋の起始部でつくられる肘部管を走ります。ここで圧迫や牽引を受けると、環指尺側と小指の感覚障害、骨間筋・第3第4虫様筋・母指内転筋の筋力低下が生じ、進行すれば鷲手変形と第1背側骨間筋部の陥凹(萎縮)が現れます。母指内転筋が働かないため、母指と示指で紙をはさませると正中神経支配の長母指屈筋で代償し、母指IP関節が屈曲します。これがフローマン徴候です。支配筋から症状を導く癖をつけると、選択肢3・4のような他神経の所見と混同しません。

✓ 2. 正しい(答え)
フローマン徴候は陽性となる。
尺骨神経支配の母指内転筋の力が落ち、紙をつまむ動作で母指IP関節を屈曲させて代償します。尺骨神経麻痺を簡便に確認できる検査です。
✗ 1. 誤り(答えではない)
感覚障害はない。
肘部管の高さでは知覚枝も含めて障害されるため、小指と環指尺側にしびれ・感覚低下が出ます。
✗ 3. 誤り(答えではない)
下垂指が出現する。
下垂指は橈骨神経の枝である後骨間神経の麻痺による所見で、MP関節を伸展できなくなります。神経が異なります。
✗ 4. 誤り(答えではない)
母指対立筋の筋力低下が生じる。
母指対立筋は正中神経支配で、手根管症候群(進行すると猿手)で低下します。尺骨神経で低下するのは母指内転筋です。

対応としては、肘を深く曲げ続ける姿勢や肘をつく動作を避けるよう指導し、夜間は肘を伸ばした肢位を保つ工夫を勧めます。筋萎縮が進む例は手術適応の判断が必要なため医師へ紹介します。

ポイント
  • 肘部管症候群=内側上顆後方での尺骨神経絞扼。小指と環指尺側の感覚障害を伴う。
  • フローマン徴候は母指内転筋(尺骨神経)の麻痺を長母指屈筋(正中神経)が代償する所見。
  • 進行すると鷲手変形、第1背側骨間筋部の陥凹(骨間筋の萎縮)。
  • 下垂指=後骨間神経(橈骨神経)、母指対立筋の低下=正中神経。神経ごとに整理する。
  • 肘屈曲位の持続を避ける生活指導が基本。萎縮が進めば手術適応の評価が必要。
比較表
神経代表的な絞扼部位感覚障害特徴的所見
尺骨神経肘部管、ギヨン管小指・環指尺側鷲手、フローマン徴候
正中神経手根管母指〜環指橈側の手掌側猿手、母指対立障害、ティネル徴候
橈骨神経(後骨間神経)回外筋部(フローゼのアーケード)感覚は原則保たれる下垂指(MP伸展不能)
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。