学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §27 膝関節十字靱帯損傷の診察 / QJ28A025

理由で解く 柔道整復師

QJ28A025 必修問題

出典:第28回柔道整復師国家試験(2020)午前 問25
問題
前十字靱帯損傷で受傷直後にみられないのはどれか。
選択肢
1 運動痛
2 後方落込徴候
3 不安定感
4 スポーツ活動の続行困難
解答
正解2(後方落込徴候)
解説

後方落込徴候は後十字靱帯(PCL)損傷の所見で、前十字靱帯(ACL)損傷の受傷直後にはみられません。これが本問の答えです。

ACLは脛骨が大腿骨に対して前方へずれるのを止める靱帯で、ジャンプの着地や急な方向転換で膝が外反・下腿外旋を強制されたときに断裂します。受傷時にはブツッという断裂音(ポップ音)を自覚し、そのまま競技を続けられなくなります。数時間以内に関節血症で膝が大きく腫れ、運動時痛と膝が抜けるような不安定感(膝くずれ)が現れます。これに対し後方落込徴候は、仰臥位で股・膝を屈曲したときに脛骨粗面が重力で後方へ沈み込む所見で、脛骨の後方移動を止めるPCLが破綻したことを示します。ACLの不安定性を診るのはラックマンテスト・前方引出しテスト・Nテスト(ピボットシフトテスト)です。「どの方向のずれを止める靱帯か」から検査名を引き出せば、混同しません。

✓ 2. これが答え(みられない)
後方落込徴候
脛骨の後方移動を止めるPCLが損傷されたときの所見です。ACL損傷では脛骨が前方へずれるので、後方への落ち込みは生じません。
✗ 1. みられる(答えではない)
運動痛
受傷直後から膝の運動に伴う痛みが生じ、関節血症による腫脹も加わって可動域が制限されます。ACL損傷の受傷直後にみられる症状です。
✗ 3. みられる(答えではない)
不安定感
脛骨の前方への制動が失われるため、膝が抜けるような不安定感(膝くずれ)を受傷直後から自覚します。
✗ 4. みられる(答えではない)
スポーツ活動の続行困難
断裂音とともに強い痛みと不安定感が生じ、その場で競技続行が不可能になるのが典型的な経過です。
ポイント
  • 後方落込徴候(サギング)=PCL損傷の所見。ACL損傷では出ない。
  • ACL損傷の受傷直後:断裂音(ポップ音)・競技続行不能・関節血症による腫脹・運動痛・膝くずれ
  • ACLの検査=ラックマンテスト、前方引出しテスト、Nテスト(ピボットシフト)。
  • PCLの検査=後方引出しテスト、後方落込徴候(サギングサイン)。
  • 「どちら向きのずれを止める靱帯か」から検査名を導くと取り違えない。
比較表
前十字靱帯(ACL)後十字靱帯(PCL)
止めている動き脛骨の前方移動脛骨の後方移動
典型的な受傷機転着地・方向転換での外反+下腿外旋膝屈曲位で脛骨前面を強打(ダッシュボード損傷)
主な徒手検査ラックマン、前方引出し、Nテスト後方引出し、後方落込徴候
受傷直後の所見断裂音、関節血症、膝くずれ、続行不能脛骨粗面の後方沈下
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