学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ27P108

理由で解く 柔道整復師

QJ27P108 柔道整復理論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問108
問題
8歳の男児。6歳からサッカーを始めた。特に肥満はない。1か月前から右膝から大腿部にかけての疼痛を訴えていた。しばらく様子をみていたところ、母親が跛行に気付き来所した。膝関節に腫脹や圧痛、不安定性などはなく、大腿部も若干の筋緊張はあるものの明確な所見はなかった。股関節は外転・外旋に制限がみられた。スカルパ三角部に圧痛を認め、パトリックテストも陽性であった。最も考えられるのはどれか。
選択肢
1 鼠径部痛症候群
2 単純性股関節炎
3 ペルテス(Perthes) 病
4 大腿骨頭すべり症
解答
正解3(ペルテス(Perthes) 病)
解説

学童期の男児が膝から大腿部の痛みを訴え、跛行と股関節可動域制限、スカルパ三角の圧痛、パトリックテスト陽性を示す経過は、ペルテス病を最も強く疑わせます。膝の所見が乏しいのに膝痛を訴える点が診断のカギです。

ペルテス病は大腿骨頭骨端核の阻血性壊死で、5〜7歳前後を中心とした学童期の男児に多く発症します。股関節の痛みは閉鎖神経や大腿神経の関節枝を介して大腿内側から膝内側にかけて関連痛として出るため、「膝が痛い」という訴えで受診することが少なくありません(閉鎖神経の皮枝が分布するのは大腿内側下部から膝内側であり、大腿前面は大腿神経前皮枝の領域です)。膝関節そのものに腫脹・圧痛・不安定性がないのに膝痛が続く小児では、必ず股関節を診るという原則が本例にそのまま当てはまります。可動域については、ペルテス病では一般に股関節の外転制限と内旋制限が特徴とされます(本問では「外転・外旋に制限」と記載されており、外転制限が共通する所見です)。関節包の伸張や滑膜炎により可動域が制限され、パトリックテスト(股関節を屈曲・外転・外旋させる肢位)が陽性となります。数週から数か月にわたって跛行が続く緩徐な経過が典型で、対応としては荷重とスポーツをいったん中止し、単純X線などの画像評価のために速やかに整形外科へ紹介します。

✓ 3. 正しい
ペルテス(Perthes) 病
8歳男児という好発年齢・性別、1か月続く膝〜大腿部痛と跛行、膝には所見がなく股関節に可動域制限とスカルパ三角の圧痛、パトリックテスト陽性という組み合わせが揃っています。閉鎖神経・大腿神経の関節枝を介した大腿内側〜膝内側への関連痛という機序で症状の分布まで説明でき、緩徐な経過も矛盾しません。
✗ 1. 誤り
鼠径部痛症候群
キックやダッシュを反復する思春期以降の競技者に多く、恥骨結合周囲や内転筋起始部の痛みが中心です。骨端が未成熟な8歳の症例像とは合わず、股関節の可動域制限やパトリックテスト陽性を主体とする本例の所見も説明しにくい選択肢です。
✗ 2. 誤り
単純性股関節炎
3〜10歳に多く年齢は重なりますが、先行する上気道炎などのあとに急性に発症し、安静により数日から2週程度で自然に軽快するのが特徴です。1か月にわたって症状が続き跛行が残っている本例の経過とは合致しません。
✗ 4. 誤り
大腿骨頭すべり症
骨端線が力学的に弱くなる10〜16歳の思春期に多く、肥満体型の男子が代表的な対象です。屈曲させると大腿が外旋する(内旋制限を伴う)のが特徴的な所見ですが、本例は8歳で肥満がないと明記されており、年齢・体型のいずれも典型像から外れます。
ポイント
  • 膝に所見がないのに膝痛を訴える小児は股関節を診る。閉鎖神経・大腿神経の関節枝を介した大腿内側〜膝内側への関連痛がその根拠。閉鎖神経=大腿内側であり、大腿前面は大腿神経領域。
  • ペルテス病は大腿骨頭骨端核の阻血性壊死。5〜7歳前後の男児に多く、跛行と股関節可動域制限(一般には外転制限と内旋制限)が出る。
  • 単純性股関節炎との鑑別は経過の長さ。数日〜2週で自然軽快するのが単純性股関節炎、数週〜数か月続くのがペルテス病。
  • 大腿骨頭すべり症との鑑別は年齢と体型、および可動域の型(屈曲時に外旋する=内旋制限)。思春期・肥満体型ならすべり症を疑う。
  • 疑った時点で荷重とスポーツを控えさせ、画像評価のため整形外科へ紹介する。
比較表
疾患好発年齢背景・体型経過典型所見
ペルテス病5〜7歳中心(男児に多い)肥満は必須でない数週〜数か月と緩徐大腿内側〜膝内側の関連痛、跛行、外転制限(内旋制限を伴うことが多い)、パトリック陽性
単純性股関節炎3〜10歳先行する上気道炎など数日〜2週で自然軽快股関節痛と跛行、全身状態は良好
大腿骨頭すべり症10〜16歳肥満体型が多い急性〜慢性股関節屈曲時の外旋、内旋制限
鼠径部痛症候群思春期以降の競技者キック・ダッシュの反復慢性・反復性恥骨結合周囲や内転筋起始部の痛み
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