学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ27P109

理由で解く 柔道整復師

QJ27P109 柔道整復理論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問109
問題
36歳の女性。退職し母親の介護を始めた昨年から体重が10kg増加した。2週前から右足関節内果周辺に疼痛がみられ、内果後方から遠位にかけて軽度の圧痛を認めた。踵部は外反位を呈し、つま先立ちは痛みのため困難である。考えられる疾患はどれか。
選択肢
1 内果疲労骨折
2 シンスプリント
3 変形性足関節症
4 後脛骨筋腱炎
解答
正解4(後脛骨筋腱炎)
解説

中年女性、短期間での体重増加、内果後方から遠位にかけての圧痛、踵部の外反位、つま先立ちが困難という所見の組み合わせは、後脛骨筋腱の障害(後脛骨筋腱炎・後脛骨筋腱機能不全)を強く示す。

後脛骨筋腱は内果の後方を回り込み、舟状骨を中心に足底へ広く停止して内側縦アーチを下から吊り上げている。この腱に炎症や変性が起こると、内果後方から舟状骨にかけて腱の走行に一致した圧痛が生じ、同時にアーチを保持する働きが落ちて扁平足化し、後足部は外反位をとる(後方から見ると足趾が外側に多く見えるtoo many toes signが現れる)。つま先立ちでは、まず後脛骨筋が踵骨を内反させて足部を固い梃子に変えてから踵が持ち上がるので、機能が低下すると片脚つま先立ちができない(heel rise test)。中年以降の女性、肥満・急な体重増加、扁平足、糖尿病や関節リウマチが代表的な危険因子で、本症例は介護に伴う生活変化と10kgの体重増加という背景がそろっている。対応は内側縦アーチを支えるインソール、後脛骨筋の求心性・遠心性トレーニング、荷重量と体重の管理を組み合わせる。進行すると足部の変形が固定して可逆性を失うため、早い段階で医師と連携し、必要に応じて画像評価を受けられるようにする。

✓ 4. 正しい
後脛骨筋腱炎
内果後方から遠位という圧痛部位が腱の走行に一致し、アーチ保持機能の低下による踵部外反位、つま先立ち困難という三つの所見がすべて後脛骨筋腱の働きで説明できる。体重増加という危険因子も合致する。
✗ 1. 誤り
内果疲労骨折
走行やジャンプを繰り返すスポーツ選手にみられる比較的まれな疲労骨折で、圧痛は内果そのものに限局する。本症例には反復する衝撃負荷の病歴がなく、踵部外反位やアーチ低下も説明できない。
✗ 2. 誤り
シンスプリント
脛骨内側の中下1/3に沿った広い範囲の圧痛が特徴で、走行距離やジャンプ量の急増が誘因となる。内果後方から遠位という限局した圧痛部位、踵部外反位、つま先立ち困難という所見とは合致しない。
✗ 3. 誤り
変形性足関節症
距腿関節の軟骨変性による疾患で、関節裂隙に沿った圧痛、関節可動域制限、荷重時痛と腫脹が主体となり、内反変形を伴うことが多い。腱の走行に沿った圧痛や後足部外反位という本症例の像とは異なる。
ポイント
  • 後脛骨筋腱は内果後方を回って舟状骨などに停止し、内側縦アーチを吊り上げる。
  • 機能低下の三徴は「内果後方〜遠位の圧痛」「後足部の外反・扁平足化」「片脚つま先立ち困難」。
  • つま先立ちは後脛骨筋が踵骨を内反させて足部を固めることで成立する。だから機能低下で不能になる。
  • 中年以降の女性、肥満・急な体重増加、扁平足、糖尿病などが危険因子。
  • アーチサポート(インソール)、後脛骨筋のトレーニング、荷重・体重の管理を行い、変形が固定する前に医師と連携する。
比較表
疾患圧痛の部位足部の変形主な誘因特徴的所見
後脛骨筋腱炎内果後方から舟状骨へ(腱の走行に一致)後足部外反・扁平足肥満・体重増加、中年女性片脚つま先立ち困難、too many toes sign
内果疲労骨折内果に限局なし走行・ジャンプの反復叩打痛、スポーツ活動歴
シンスプリント脛骨内側の中下1/3に広くなし(扁平足が素因になることはある)走行距離の急増運動開始時痛、広範な圧痛
変形性足関節症距腿関節裂隙に沿って内反変形が多い加齢、外傷の既往荷重時痛、可動域制限
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