学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ27P107

理由で解く 柔道整復師

QJ27P107 柔道整復理論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問107
問題
25歳の女性。2週前、転倒した際に右手を衝いて受傷したが、しばらく安静にしていたので症状は治まっていた。最近、手を使う作業が多く、手関節尺側に疼痛が出現してきたので来所した。手関節尺側部に圧痛があり、尺骨頭に軽度不安定性がみられた。困難な動作はどれか。
選択肢
1 ドアノブを捻る。
2 食事を摂る。
3 顔を洗う。
4 文字を書く。
解答
正解1(ドアノブを捻る。)
解説

手を衝いて受傷した後、手関節尺側の圧痛と尺骨頭の不安定性が残っている。遠位橈尺関節を支える三角線維軟骨複合体(TFCC)の損傷が考えられ、抵抗に抗して前腕を回す「ドアノブを捻る」動作が最も困難になる。

TFCCは尺骨頭と手根骨(月状骨・三角骨)の間に位置し、手関節尺側にかかる軸圧を受け止めるクッションであると同時に、遠位橈尺関節をつなぎ止める安定装置でもある。損傷すると手関節尺側の疼痛、尺屈時痛、前腕回内外時の疼痛と轢音、そして尺骨頭の浮き上がり(不安定性)が現れる。とくに抵抗のかかった回内外や、手をついて体重を支える動作では、回旋ストレスと軸圧が同時に遠位橈尺関節へ加わるため症状が強く出る。ドアノブや蛇口を回す、瓶の蓋を開ける、雑巾を絞るといった訴えが典型的である。日常生活では回旋負荷を減らす工夫(レバー式のドアハンドルに替える、両手で回す、瓶は道具を使う)を助言し、前腕回旋を制限するサポーターや固定を検討する。不安定性が明らかな場合は画像評価のため医師と連携する。

✓ 1. 正しい
ドアノブを捻る。
抵抗に抗した前腕回内外そのものであり、遠位橈尺関節に回旋ストレスと軸圧が同時に加わる。TFCC損傷・尺骨頭不安定性のある手では最も疼痛が出やすく、力も入らない動作である。
✗ 2. 誤り
食事を摂る。
箸やスプーンを口へ運ぶ際に前腕回旋を使うが、抵抗はごくわずかで、肘や肩の動きでも代償できる。困難になる動作としては、抵抗下の回旋に及ばない。
✗ 3. 誤り
顔を洗う。
手掌を上に向ける回外位をとるが、外部からの抵抗も軸圧もかからない自動運動であるため、遠位橈尺関節へのストレスは小さい。
✗ 4. 誤り
文字を書く。
前腕は回内位でほぼ固定され、実際に動くのは主に手指である。前腕回旋のストレスがかからないため、この症例で最も困難な動作とはならない。
ポイント
  • TFCCは尺側の軸圧を受け止めるクッションであり、遠位橈尺関節の安定装置でもある。
  • 手をついて受傷後、手関節尺側の圧痛+尺骨頭の不安定性があればTFCC損傷を疑う。
  • 症状が強く出るのは「抵抗のかかった前腕回内外」と「手をついて体重を支える動作」。
  • ドアノブ・蛇口・瓶の蓋・雑巾絞りが代表的な訴え。動作を聞き取れば損傷部位の推定に直結する。
  • 回旋負荷を減らす生活指導とサポーター・固定を行い、不安定性が明らかなら医師と連携して画像評価を進める。
比較表
動作前腕回旋の程度抵抗・軸圧症状の出やすさ
ドアノブを捻る大きいあり(抵抗+軸圧)最も出やすい
食事を摂る中等度ごくわずか軽度
顔を洗う回外位をとるほぼなし軽度
文字を書くほぼ動かない(回内位保持)なし出にくい
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