学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ27P106
理由で解く 柔道整復師

環指・小指のしびれに骨間筋と小指球筋の萎縮を伴う所見は、尺骨神経の障害を示します。サイクリングでハンドルにより手関節尺側が反復して圧迫される背景から、手関節部(Guyon管)レベルでの絞扼が考えられ、同じ手内在筋麻痺が進んだ結果として現れる所見は鉤爪指変形(鷲手)です。
尺骨神経は肘部管と手関節部(Guyon管)で絞扼を受けやすく、自転車では手関節の尺側をハンドルに長時間押し当てるため、豆状骨と有鉤骨鉤の間で神経が圧迫されやすくなります。ここで、前腕内側の感覚は尺骨神経ではなく前腕内側皮神経(腕神経叢内側神経束から直接分岐)が担っていることに注意が必要です。前腕の感覚障害がないという所見は、内側神経束・下神経幹・C8〜T1神経根といった尺骨神経より近位のレベルの障害を否定し、尺骨神経単独の障害であることを支持する所見であって、肘部管かGuyon管かを区別する所見ではありません(肘部管症候群でも前腕の感覚は保たれます)。肘部管とGuyon管の鑑別には手背尺側の感覚が有用で、尺骨神経手背枝は手関節よりも近位で分岐するため、Guyon管での障害では手背尺側の感覚が温存されます。骨間筋・小指球筋はいずれも尺骨神経(深枝)支配で、これらが痩せてくると環指・小指のMP関節を屈曲しIP関節を伸展させる力が失われます。その力学的バランスの崩れがそのまま形に出たものが鉤爪指変形です。対応としては、グリップ位置をこまめに変える・パッド付きグローブやハンドル高を調整するなどで手関節尺側への圧迫を減らし、しびれの持続や筋萎縮の進行がみられる場合は速やかに医療機関へ紹介します。
| 変形・肢位 | 関与する神経 | 特徴 |
|---|---|---|
| 鉤爪指変形(鷲手) | 尺骨神経 | 環指・小指のMP過伸展+PIP・DIP屈曲。骨間筋・小指球筋の萎縮を伴う |
| 下垂指 | 後骨間神経(橈骨神経深枝) | MP関節の自動伸展不能。感覚障害を伴わない |
| 下垂手 | 橈骨神経(上腕部) | 手関節背屈不能+手背橈側の感覚障害 |
| 祝祷肢位 | 正中神経(近位) | 握ろうとすると示指・中指が伸びたまま残る |
| スワンネック変形 | 神経麻痺ではない | 関節リウマチなどでPIP過伸展+DIP屈曲 |
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