学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ27P105
理由で解く 柔道整復師

両手で壁を押させたときに肩甲骨が胸郭から浮き上がる現象(翼状肩甲)がみられており、前鋸筋を支配する長胸神経の麻痺が最も考えられます。
前鋸筋は肩甲骨の内側縁を胸郭に押しつけて固定し、上肢を挙げる際には肩甲骨を上方回旋させて挙上の後半を担う筋です。この筋を支配する長胸神経(C5〜C7)が麻痺すると、肩甲骨を胸郭に押さえつけられなくなり、内側縁が翼のように背側へ浮き上がります(翼状肩甲)。また肩甲骨の上方回旋が得られないため、肩の屈曲・外転は90度前後で頭打ちになります。本症例の屈曲90度・外転80度という制限はこの機序でよく説明できます。長胸神経は転倒や牽引、圧迫で引き伸ばされて麻痺することがあり、受傷から時間が経っても挙上制限が改善しない経過とも合致します。壁押しテストは前鋸筋に負荷をかけて翼状肩甲を目立たせる誘発法です。神経麻痺が疑われる以上、医療機関での評価につなぎながら、肩甲帯周囲の拘縮予防と前鋸筋の再教育を進めます。
| 病態 | 主な所見 | 肩甲骨の浮き上がり |
|---|---|---|
| 長胸神経麻痺 | 挙上90度前後で制限、壁押しで誘発 | あり(翼状肩甲) |
| 鎖骨不全骨折 | 鎖骨部の限局した圧痛、2か月で癒合 | なし |
| 肩関節脱臼(陳旧性) | 骨頭位置異常、肩峰下の空虚、弾発性固定 | なし |
| 棘上筋腱損傷 | 大結節の圧痛、有痛弧、ドロップアームサイン | なし |
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