学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ27P103

理由で解く 柔道整復師

QJ27P103 柔道整復理論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問103
問題
31歳の男性。空手の稽古中、試し割りで板を拳で突いた際に受傷した。第2 MP 関節付近に強い疼痛と腫脹を認め、拳を握ると疼痛が増強する。単純エックス線写真(別冊 No. 3)を別に示す。この疾患で適切でないのはどれか。
図
選択肢
1 転位には骨間筋と虫様筋が作用する。
2 側副靱帯を弛緩させると整復が容易になる。
3 屈曲変形が残存すると伸展障害を起こす。
4 オーバーラッピングフィンガーに注意する。
解答
正解2(側副靱帯を弛緩させると整復が容易になる。)
解説

拳で硬い物を突いて受傷し、第2中手指節(MP)関節付近に強い疼痛と腫脹、握ると痛みが増す典型例で、第2中手骨頸部骨折である。MP関節の側副靱帯は屈曲位で緊張するため、整復では靱帯を緊張させることが手がかりになる。「弛緩させると整復が容易になる」という記述が、設問の求める答えになる。

中手骨頸部骨折では、骨間筋・虫様筋の牽引と外力の方向により中手骨頭が掌側へ屈曲し、背側凸の変形をとる。整復はまずMP関節を約90度屈曲させる。MP関節の側副靱帯は伸展位で弛緩し屈曲位で緊張するので、屈曲位にすれば基節骨が中手骨頭にしっかり連結され、基節骨をハンドルのように使って骨頭を背側へ押し上げることができる。同時に骨幹部を背側から押さえて掌側凸方向の力を加え、屈曲変形を戻す。固定は変形が戻らない肢位、すなわちMP関節屈曲位を保つ形とし、装着後は指を屈曲させて回旋変形が残っていないかを必ず確認する。整復・固定後も疼痛や変形が残るときは早めに画像評価を勧める。

✓ 2. これが設問の答え(適切でない記述)
側副靱帯を弛緩させると整復が容易になる。
MP関節の側副靱帯は伸展位で弛緩し、屈曲位で緊張する。弛緩させると基節骨が中手骨頭に対して遊んでしまい、基節骨から加えた整復力が骨頭に伝わらない。整復を容易にするのは、MP関節を屈曲させて側副靱帯を「緊張」させることであり、記述の向きが逆になっている。
✗ 1. 適切(答えではない)
転位には骨間筋と虫様筋が作用する。
骨間筋・虫様筋は中手骨頭側を掌側へ引く方向に働き、骨頭の掌側屈曲すなわち背側凸変形をつくる。転位の成り立ちを正しく述べており、設問の答えにはならない。
✗ 3. 適切(答えではない)
屈曲変形が残存すると伸展障害を起こす。
骨頭の掌側屈曲変形が残るとMP関節の伸展が制限され、手掌側に突出した骨頭が握り込みの際の疼痛や握力低下の原因にもなる。適切な記述で、設問の答えにはならない。
✗ 4. 適切(答えではない)
オーバーラッピングフィンガーに注意する。
回旋転位が残ると、指を屈曲したときに隣の指と重なるオーバーラッピングフィンガーを生じる。伸展位では見落としやすいので、必ず屈曲位で指の並びを確認する。適切な記述であり、設問の答えにはならない。
ポイント
  • 中手骨頸部骨折は骨頭が掌側へ屈曲し、背側凸の変形をとる。骨間筋・虫様筋の牽引が関与する。
  • MP関節の側副靱帯は伸展位で弛緩、屈曲位で緊張。中手骨頭が掌背方向に幅広い形をしているため。
  • 整復はMP関節90度屈曲位で側副靱帯を緊張させ、基節骨を介して骨頭を背側へ押し上げる。
  • 回旋転位は屈曲位でしか見つからない。指を曲げてオーバーラッピングフィンガーの有無を必ず確認する。
  • 屈曲変形の残存はMP関節伸展障害と握り込み時の疼痛を残すため、整復位の保持を最優先する。
比較表
関節側副靱帯が緊張する肢位拘縮予防の観点からの固定肢位
MP関節屈曲位で緊張、伸展位で弛緩屈曲位(伸展位で固定すると靱帯が短縮し屈曲拘縮を招く)
PIP・DIP関節伸展位で緊張伸展位に近い軽度屈曲位
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