学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §24 臨床実地問題 / QJ27P101

理由で解く 柔道整復師

QJ27P101 柔道整復理論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問101
問題
18歳の男子。3週前、サッカーの試合中に右足関節を捻挫し、施術を行っていた。現在、日常生活での歩行で足関節部に疼痛や不安感はないが、運動時に踵骨隆起部の疼痛を訴えている。テーピングの写真(別冊 No. 2)を別に示す。競技復帰時に行う適切なテーピングはどれか。
図
選択肢
1 a
2 b
3 c
4 d
解答
正解2
解説

受傷から3週が経ち、歩行時の疼痛も不安感も消えている一方で、運動時にだけ踵骨隆起部の疼痛が残っている症例。この時期に減らすべきは踵骨隆起部(アキレス腱付着部)にかかる牽引ストレスであり、足関節の背屈を制限してアキレス腱の張力を下げる構成のテーピングを選ぶ。別冊No.2でそれに該当するのが b である。

テーピングは「どのストレスを減らしたいか」から逆算して選ぶ。日常生活の歩行で痛みも不安感もないということは、靱帯の修復が進み、関節の支持性がある程度戻っていることを示す。残っている症状は運動時の踵骨隆起部の疼痛であり、これはアキレス腱付着部に加わる牽引ストレスによって生じる。牽引ストレスは足関節の背屈で腱が伸ばされるほど大きくなるので、背屈を制限してアキレス腱の張力を逃がす貼り方が、この症例の目的にかなう。必要に応じて距骨下関節の過剰な動きを抑えるヒールロックを併用する。なお、内反を制動するテーピング(スターアップ+ヒールロック)は、足関節内反捻挫後の競技復帰時に再受傷予防として標準的に用いられる有用な手技であり、否定されるものではない。ただし本症例で解決すべき残存症状は踵骨隆起部の牽引痛であって内反不安定性ではないため、この設問が問うている目的とは異なる。復帰後は運動量を段階的に増やし、疼痛が強まる場合は量を落として再評価し、下腿三頭筋の柔軟性改善と足部内在筋のトレーニングを並行して進める。

✓ 2. 正しい
b
本症例で減らすべきストレスは踵骨隆起部(アキレス腱付着部)への牽引であり、足関節の背屈を制限してアキレス腱の張力を下げる構成のものを選ぶ。別冊No.2の4枚のうち、その条件に該当するのが b である。
✗ 1. 誤り
a
a は、本症例の目的である「背屈制限によるアキレス腱付着部の牽引軽減」に合致する構成ではないため選ばない。テーピング手技そのものの良し悪しではなく、この症例で減らすべきストレスに対応しているかどうかで判断する。
✗ 3. 誤り
c
c も、本症例の目的である背屈制限に合致する構成ではないため選ばない。目的の合わないテーピングは、残存症状の原因である牽引ストレスを減らせないまま可動域だけを奪い、復帰の妨げになりうる。
✗ 4. 誤り
d
d も同様に、アキレス腱付着部の牽引ストレス軽減という本症例の目的に合致する構成ではない。テーピングは「今どの組織に、どの方向のストレスが加わって痛みが出ているのか」を名指しできたうえで選ぶ。
ポイント
  • テーピングは「痛みを出しているストレスは何か」を先に決め、それを止める構成を選ぶ。
  • 踵骨隆起部の疼痛=アキレス腱付着部への牽引ストレス。背屈を制限すると腱の張力が下がる。
  • 受傷3週で歩行時痛・不安感がない段階では、全可動域を止める固定は不要。段階的な運動再開を優先する。
  • 内反制動のテーピング(スターアップ+ヒールロック)は復帰時の再受傷予防として有用な標準手技。ただし本問で問われている目的(踵骨隆起部の牽引痛の軽減)とは別であり、時期と残存症状で使い分ける。
  • 復帰後に疼痛が増すときは運動量を落とし、下腿三頭筋の柔軟性と足部の筋力を評価し直す。
比較表
減らしたいストレス制限したい運動用いる考え方
アキレス腱付着部(踵骨隆起部)への牽引 ← 本症例足関節背屈下腿後面から踵にかけて背屈を止める構成
前距腓靱帯へのストレス底屈+内反底屈内反を止める構成
足関節の内反不安定性・復帰時の再受傷予防内反(距骨下関節を含む)スターアップ+ホースシュー+ヒールロック
内側縦アーチの沈み込みアーチの過度な低下アーチサポートの構成
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。