学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §20 各論(脱臼) 下肢 / QJ27P089

理由で解く 柔道整復師

QJ27P089 柔道整復理論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問89
問題
膝関節脱臼で正しいのはどれか。
選択肢
1 前方脱臼は過度の屈曲が強制され発生する。
2 後方脱臼はダッシュボード損傷で発生することが多い。
3 外側脱臼は下腿が内旋する。
4 内側脱臼は完全脱臼となる。
解答
正解2(後方脱臼はダッシュボード損傷で発生することが多い。)
解説

膝関節後方脱臼は、膝屈曲位で脛骨近位前面に後方向きの強い直達外力が加わって起こる。自動車事故で膝がダッシュボードに衝突するダッシュボード損傷が代表的な発生状況である。

膝関節脱臼は大腿骨に対する脛骨の転位方向によって前方・後方・内側・外側・回旋に分けられ、前方脱臼が最も多い。前方は膝の過伸展が強制されて後方関節包・後十字靱帯が破綻して生じ、後方は屈曲位での前方からの直達外力で生じる。側方脱臼は強い外反・内反外力によるが、側副靱帯や関節包の一部が残るため不全脱臼にとどまることが多い。いずれの型も複数の靱帯が同時に断裂する高エネルギー損傷であり、膝窩動脈損傷や総腓骨神経麻痺の合併率が高い。足背動脈・後脛骨動脈の拍動、足趾の運動と感覚、下腿の色調を必ず確認し、疑いがあれば整復の可否にかかわらず直ちに医療機関へ搬送する。

✓ 2. 正しい
後方脱臼はダッシュボード損傷で発生することが多い。
膝屈曲位・股関節屈曲位で座っているときに、脛骨粗面付近の前面がダッシュボードに衝突すると、脛骨が後方へ押し込まれて後方脱臼となる。後十字靱帯損傷と同じ受傷様式である。
✗ 1. 誤り
前方脱臼は過度の屈曲が強制され発生する。
前方脱臼は過度の伸展(過伸展)が強制されて発生する。後方関節包と後十字靱帯が破綻し、脛骨が前方へ滑り出る。過度の屈曲ではない。
✗ 3. 誤り
外側脱臼は下腿が内旋する。
外側脱臼は強い外反(外転)外力によって下腿が外方へ転位するもので、回旋を伴う場合は外旋位をとる。内旋するという記述は転位方向と合わない。
✗ 4. 誤り
内側脱臼は完全脱臼となる。
内側・外側の側方脱臼は側副靱帯や関節包の一部が残存することが多く、不全脱臼(亜脱臼)にとどまりやすい。完全脱臼となりやすいのは前方脱臼・後方脱臼である。
ポイント
  • 脱臼の型は「脛骨がどちらへ動いたか」で呼ぶ。前方脱臼が最も多い。
  • 前方=過伸展強制、後方=屈曲位での脛骨前面への直達外力(ダッシュボード損傷)。
  • 側方脱臼は外反・内反外力によるもので、不全脱臼にとどまることが多い。
  • 膝窩動脈損傷・総腓骨神経麻痺の合併率が高い。末梢の拍動・感覚・運動を必ず確認する。
  • 複数靱帯の同時断裂を伴う重篤な外傷。疑った時点で直ちに医療機関へつなぐ。
比較表
主な発生機序特徴
前方脱臼膝の過伸展強制最も多い。後十字靱帯・後方関節包が破綻
後方脱臼屈曲位で脛骨近位前面への直達外力ダッシュボード損傷。膝窩動脈損傷に要警戒
外側脱臼強い外反(外転)外力下腿は外方へ転位。不全脱臼が多い
内側脱臼強い内反(内転)外力下腿は内方へ転位。不全脱臼が多い
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