学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §20 各論(脱臼) 下肢 / QJ27P090

理由で解く 柔道整復師

QJ27P090 柔道整復理論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問90
問題
膝蓋骨脱臼で正しいのはどれか。
選択肢
1 膝蓋骨は内方へ転位することが多い。
2 Q角は減少する。
3 膝は軽度屈曲位に弾発性固定される。
4 膝関節 90度屈曲位で固定する。
解答
正解3(膝は軽度屈曲位に弾発性固定される。)
解説

外側へ飛び出した膝蓋骨は大腿骨外側顆に乗り上げて引っかかり、膝は軽度屈曲位のまま伸ばせなくなります(弾発性固定)。正しいのは3です。

膝蓋骨は大腿四頭筋の張力の合力方向に引かれます。上前腸骨棘から膝蓋骨中央、膝蓋骨中央から脛骨粗面を結んでできるQ角が大きいほど、膝蓋骨を外側へ引く成分が強くなります。膝を軽く曲げた姿勢で大腿四頭筋が急に収縮したり、下腿が外反・外旋する動きが加わったりすると、膝蓋骨は外側へ逸脱し、内側膝蓋大腿靱帯が損傷します。整復は股関節を屈曲させて大腿直筋の張力を抜き、膝をゆっくり伸展させながら膝蓋骨を内方へ押し戻します。整復後は大腿四頭筋がゆるみ膝蓋骨が滑車溝に収まる伸展位付近で固定し、その後は膝蓋骨を内側へ引き戻す内側広筋の強化へつなげます。ここで見落としてはならないのが骨軟骨骨折の合併です。初回の外側脱臼では、膝蓋骨内側面や大腿骨外側顆の関節面が削れて遊離骨片となる例が少なくありません。整復できていても、関節血症(膝の急速な腫脹と緊満)、荷重時の強い痛み、屈伸時の引っかかり感やロッキングがあれば、遊離体の有無を確かめる画像評価が必要です。柔整師が経過観察で抱え込まず、医師へつなぎます。

✓ 3. 正しい
膝は軽度屈曲位に弾発性固定される。
外方へ逸脱した膝蓋骨が大腿骨外側顆に乗り上げるため、膝は軽度屈曲位で止まり、伸ばそうとすると抵抗して戻る弾発性固定を示します。
✗ 1. 誤り
膝蓋骨は内方へ転位することが多い。
転位はほとんどが外方(外側)です。Q角増大、外反膝、膝蓋骨高位、大腿骨外側顆の低形成、全身関節弛緩などが素因となり、若年女性に多くみられます。
✗ 2. 誤り
Q角は減少する。
素因となるのはQ角の増大です。Q角が大きいほど大腿四頭筋の合力が外側へ向き、膝蓋骨が外側へ押し出されやすくなります。
✗ 4. 誤り
膝関節 90度屈曲位で固定する。
整復後は膝伸展位付近で固定します。90度屈曲位では大腿四頭筋が緊張して膝蓋骨を外側へ引く力が働き、再脱臼を招きやすくなります。
ポイント
  • 膝蓋骨脱臼はほぼ外側脱臼。膝は軽度屈曲位で弾発性固定される。
  • 素因はQ角の増大、外反膝、膝蓋骨高位、外側顆の低形成、関節弛緩性。
  • 整復は股関節屈曲で大腿直筋を緩め、膝を伸展させながら膝蓋骨を内方へ導く。固定は膝伸展位付近(屈曲位固定は外側への牽引を強め再脱臼の原因になる)。
  • 初回外側脱臼では骨軟骨骨折(膝蓋骨内側面・大腿骨外側顆の遊離骨片)の合併が少なくない。関節血症、強い荷重時痛、引っかかり感・ロッキングがあれば画像評価のため医師へつなぐ。
  • 固定除去後は内側広筋(とくに斜走線維)の強化と、外側支持組織の柔軟性改善を進める。
比較表
項目膝蓋骨外側脱臼での状態理由
転位方向外方大腿四頭筋の合力が外側を向くため
Q角増大が素因外方への引きが強まる
肢位膝軽度屈曲位で弾発性固定膝蓋骨が外側顆に乗り上げる
固定肢位膝伸展位付近四頭筋が緩み膝蓋骨が滑車溝に収まる
見落とせない合併症骨軟骨骨折(遊離体)脱臼時に膝蓋骨内側面と大腿骨外側顆が衝突する。関節血症があれば医師へ
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