学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §20 各論(脱臼) 下肢 / QJ27P091

理由で解く 柔道整復師

QJ27P091 柔道整復理論

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午後 問91
問題
膝蓋骨外側脱臼の固定除去後に行う筋力強化で有効なのはどれか。
図
選択肢
1 a
2 b
3 c
4 d
解答
正解1
解説

膝蓋骨外側脱臼の固定除去後は、膝蓋骨を内側へ引き戻す内側広筋(とくに斜走線維)の強化が再脱臼予防の要です。図では、背臥位で膝の下に置いたタオルを押しつぶすように膝を伸展させる a(大腿四頭筋セッティング)が該当します。

膝蓋骨は大腿四頭筋腱と膝蓋腱に挟まれ、大腿骨の膝蓋面(滑車溝)を滑って動きます。大腿四頭筋の作用線は外側へ傾いている(Q角がある)ため、膝蓋骨には常に外側へ引かれる力が働いています。これに拮抗して内側から支えているのが内側広筋斜走線維(VMO)と内側膝蓋大腿靱帯で、外側脱臼を起こした後はこの内側支持機構が弱くなり、再脱臼を招きやすい状態にあります。内側広筋は膝伸展の最終域で最も強く働く筋なので、膝を伸ばしきった肢位で収縮させる運動が効率的です。図のaはまさにその形で、膝窩部に置いたタオルを押しつけながら膝を伸展位に保つ大腿四頭筋セッティング(パテラセッティング)にあたります。他の3つは膝を曲げる運動や股関節まわりの運動で、膝伸展最終域の内側広筋を直接鍛える形にはなっていません。実際の指導では、これに下肢伸展挙上(SLR)や軽度屈曲位から伸展しきる範囲での運動を痛みの出ない範囲で加え、外側支持組織の柔軟性改善やテーピングによる内方への誘導も併用しながら、段階的に日常動作・スポーツへ戻していきます。

✓ 1. 正しい
a
背臥位で膝窩部に置いたタオルを押しつぶすように膝を伸展させる大腿四頭筋セッティングです。膝伸展の最終域で内側広筋が働き、膝蓋骨を内側へ引き戻す力を高めるため、再脱臼の予防につながります。
✗ 2. 誤り
b
背臥位で両下肢を閉じる方向(股関節内転)へ動かす運動です。働くのは内転筋群であり、膝伸展最終域で内側広筋を収縮させる形にはなっていません。
✗ 3. 誤り
c
腹臥位で膝を屈曲させる運動です。ハムストリングスの強化であり、大腿四頭筋(内側広筋)の強化にはなりません。
✗ 4. 誤り
d
側臥位で上側の下肢を挙上する股関節外転運動です。中殿筋の強化にあたり、下肢アライメントを整える意味では補助的に有用ですが、膝蓋骨を内側へ引く力を直接高めるものではありません。
ポイント
  • 膝蓋骨はQ角のため外側へ引かれやすい。だから脱臼はほぼ外側に起こる。
  • 内側から支えるのは内側広筋斜走線維(VMO)と内側膝蓋大腿靱帯
  • 内側広筋は膝伸展の最終域で強く働く → 大腿四頭筋セッティング(パテラセッティング)、SLR、伸展最終域の運動が有効。
  • 膝屈曲運動(ハムストリングス)や股関節内転・外転運動は、内側広筋の直接的な強化にはならない。
  • 再脱臼の予防は「内側の支持力を取り戻す」という一点で考えると選択が定まる。
比較表
運動の内容主に働く筋本問での適否
a背臥位・膝下のタオルを押して膝を伸展(大腿四頭筋セッティング)大腿四頭筋(内側広筋)◯ 適切
b背臥位で両下肢を閉じる(股関節内転)内転筋群× 目的に合わない
c腹臥位での膝屈曲ハムストリングス× 拮抗筋の強化
d側臥位での股関節外転中殿筋× 補助的にとどまる
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