学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §19 肘関節後方脱臼の診察および整復 / QJ27A029

理由で解く 柔道整復師

QJ27A029 必修問題

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午前 問29
問題
肘関節脱臼後の骨化性筋炎で誤っているのはどれか。
選択肢
1 上腕部にみられる。
2 肘関節可動域が制限される。
3 無謀な徒手矯正が原因となる。
4 直ちに外科的な処置に委ねる。
解答
正解4(直ちに外科的な処置に委ねる。)
解説

骨化性筋炎は、発見したら直ちに手術に委ねる病態ではありません。まずは局所安静と刺激を避ける保存的対応が原則です。

外傷性骨化性筋炎は、脱臼や骨折に伴う筋内血腫・骨膜損傷を土台として、筋(肘では主に上腕筋)の中に異所性の骨が形成される合併症です。強引な整復操作や無理な他動ストレッチ、患部への強いマッサージ、繰り返す機械的刺激が誘因となります。臨床では肘の可動域制限(特に伸展制限)と硬い腫瘤の触知がみられ、X線では受傷後おおむね2〜4週から石灰化・骨化像が現れます。対応は時期で変わります。急性期は局所の安静と冷却で刺激を減らし、痛みのない範囲の自動運動を中心に進めます。骨化が成熟し(おおむね6か月〜1年、画像所見で判断)機能障害が残る場合に、初めて医師と相談のうえ外科的切除を検討します。未成熟な段階での切除は再発しやすいため、待つこと自体が治療の一部です。予防としては、整復は愛護的に行い、患者・家族には「痛みを押して曲げ伸ばしさせない」ことを具体的に説明しておきます。

✓ 4. これが誤り(=正答)
直ちに外科的な処置に委ねる。
発症直後に手術を行うのではなく、まず局所安静と刺激の回避、疼痛のない範囲の自動運動で経過をみます。骨化が成熟してもなお機能障害が残る場合に、医師と相談して切除を検討するという順序です。未成熟期の切除は再発しやすい点が根拠になります。
✗ 1. 正しい(=答えではない)
上腕部にみられる。
肘関節脱臼後の骨化性筋炎は、肘関節前方の上腕筋部に生じるのが典型です。関節包・骨膜損傷と筋内血腫が重なる部位であることが理由です。
✗ 2. 正しい(=答えではない)
肘関節可動域が制限される。
異所性骨化が筋の伸張性を奪うため、可動域制限(特に伸展制限)が主症状となります。硬い腫瘤を触れることも診断の手がかりです。
✗ 3. 正しい(=答えではない)
無謀な徒手矯正が原因となる。
強引な整復や痛みを押しての他動運動、強いマッサージなど、繰り返す機械的刺激が発生の誘因になります。だからこそ整復・後療法は愛護的に行い、患者にも自宅での注意点を伝えます。
ポイント
  • 肘関節脱臼・上腕骨顆上骨折後に、上腕筋部(肘関節前方)へ異所性骨化が起こる。
  • 誘因は無理な整復・過度な他動ストレッチ・強いマッサージなど反復する機械的刺激。
  • 症状は可動域制限(特に伸展制限)と硬い腫瘤。X線像は受傷後2〜4週頃から。
  • 急性期は局所安静・冷却+疼痛のない範囲の自動運動。刺激を加えないことが治療。
  • 骨化が成熟し(おおむね6か月〜1年)機能障害が残る場合に、医師と相談して切除を検討する。
比較表
時期主な所見とるべき対応
急性期(受傷〜約2週)熱感・腫脹・強い疼痛と可動域制限局所安静と冷却。強い他動ストレッチやマッサージは避ける
亜急性期(2週〜数か月)X線で石灰化・骨化像、硬い腫瘤を触知疼痛のない範囲の自動運動を継続し、経過を追う
成熟期(おおむね6か月〜1年)骨化が成熟し境界が明瞭になる機能障害が残るなら医師と相談し切除を検討
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