学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 外科学概論 ▸ §20 臨床実地問題 / QJ26P054
理由で解く 柔道整復師

左前胸部を強く打ったあとに呼吸困難が出現し、胸部エックス線写真で診断がつく病態を選ぶ問題です。受傷機転・症状・画像の三つを矛盾なく説明できるのは外傷性気胸で、正答は2です。
胸腔はもともとわずかな陰圧に保たれ、その陰圧が肺を外へ引き広げています。ガードレールに前胸部を打ちつけるような鈍的外傷では、折れた肋骨の骨片が臓側胸膜と肺を破ったり、声門が閉じたまま胸郭が急に圧迫されて肺胞が破裂したりして、胸腔内へ空気が漏れます。陰圧が失われれば肺は自らの弾性で縮んで虚脱し、換気に使える肺の容積が減るため呼吸困難が生じます。別冊No.1の胸部エックス線写真でも左肺野は右に比べて黒く抜けており(透過性の亢進)、打撲した左側の胸腔に空気がたまっている状況と矛盾しません。気胸は経過中に緊張性気胸へ移行しうる病態です。医療機関では酸素投与と静脈路確保のうえ、胸腔ドレナージが治療の中心となります。施術者は、本人が楽に呼吸できる半坐位で安静を保ち、ただちに救急要請したうえで、血圧低下・頸静脈怒張・気管の健側偏位といった緊張性気胸を示す変化が出ないか観察しながら医療機関へ引き継ぎます。
| 病態 | 典型的な受傷機転・原因 | 主な身体所見 | 胸部エックス線の傾向 | 確認の手段 |
|---|---|---|---|---|
| 気胸(本症例) | 肋骨骨折を伴う胸部打撲、声門閉鎖下の胸郭圧迫 | 患側の呼吸音減弱、打診で鼓音、皮下気腫 | 患側が黒く抜け肺紋理が消える。縦隔偏位は通常なく、緊張性になると健側へ偏位 | 胸部エックス線、胸部CT、超音波 |
| 無気肺 | 気管支の閉塞、分泌物貯留、長期臥床・術後 | 患側の呼吸音減弱、打診で濁音 | 患側の透過性低下(白い)、縦隔・横隔膜が患側へ牽引 | 胸部エックス線、気管支鏡 |
| 心臓破裂 | 前胸部への強い圧迫、急減速 | 著明な血圧低下、頸静脈怒張、心音減弱(Beckの三徴) | 心陰影拡大は非特異的で、急性期には拡大しないことも多く、エックス線だけでは診断できない | 心エコー(心嚢液の確認) |
| 大動脈破裂 | 高所墜落・高速車両事故など強い急減速 | ショック、背部痛、上下肢や左右の血圧差 | 上縦隔拡大、大動脈弓陰影の不鮮明化、気管の右方偏位、左血胸 | 造影CT |
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