学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 外科学概論 ▸ §20 臨床実地問題 / QJ25P054
理由で解く 柔道整復師
最も可能性が高いのは1の大動脈です。時速40kmで走行中に対向車と正面衝突しており、ハンドルで前胸部を強打して胸郭が急停止しているため、減速外傷として大血管の損傷を考えます。前胸部痛に頻脈と血圧低下を伴えば、まず出血性ショックを疑う場面です。
正面衝突が危険なのは、自車の速度に対向車の速度が加わった相対速度で衝突するためで、時速40kmの走行でも胸郭には大きな減速力が加わります。体が前方へ運ばれた瞬間にハンドルで胸郭が急停止すると、心臓や大動脈は慣性で前方へ動こうとします。このとき大動脈は動脈管索で固定されているため、可動性のある弓部と固定された下行大動脈の境目、すなわち左鎖骨下動脈分岐直後の大動脈峡部に強い剪断力が集中します。ここが裂けると大量出血となり、頻脈と血圧低下というショックの徴候が現れます。外膜でかろうじて保たれている場合は搬入時に一時的に血圧が保たれることもあるため、正面衝突やハンドル外傷のように減速力の大きい受傷機転であれば、症状が軽く見えても油断せず評価します。実際の対応は、気道・呼吸・循環の安定化と輸液・輸血、胸部X線での縦隔拡大の確認、造影CTによる診断で、確定すれば緊急の血管内治療または開胸手術に進みます。
| 臓器・病態 | 典型的な受傷機転 | 主な所見 |
|---|---|---|
| 大動脈(峡部)損傷 | 正面衝突・高所転落などの減速外傷 | 前胸部・背部痛、ショック、胸部X線での縦隔拡大 |
| 心挫傷・心タンポナーデ | ハンドルによる前胸部直達外力 | 不整脈、頸静脈怒張、心音減弱、血圧低下 |
| 肺挫傷・血気胸 | 胸壁への直達外力、肋骨骨折 | 低酸素血症、呼吸音減弱 |
| 横隔膜損傷 | 腹部圧迫による腹腔内圧上昇、側方衝突 | 左側に多い、胸腔内への腹部臓器脱出 |
| 肝損傷 | 右季肋部〜上腹部への直達外力 | 腹痛、腹膜刺激症状、腹腔内出血 |
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