学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / リハビリテーション医学 ▸ §7 リハビリテーションの実際 / QJ26P020
理由で解く 柔道整復師
第5頸髄節まで残存する完全四肢麻痺では、三角筋と肘屈筋群(上腕二頭筋・上腕筋・腕橈骨筋)が使える。手指で握ることはできないため、万能カフなどの自助具を用いた食事動作が現実的な到達目標になる。
頸髄損傷の到達目標は、残存する筋がどこまでかで決まる。C5残存では肩関節の屈曲・外転と肘関節の屈曲・前腕回外までが可能で、肘伸展(上腕三頭筋、C7)、手関節背屈(C6)、手指の屈伸(C8〜T1)は失われている。物を握れないので、スプーンやフォークを差し込んで手に固定する万能カフ(ユニバーサルカフ)と、上肢の重さを支えて水平面の動きを助けるBFO(バランス式前腕装具、別名MAS=可動性上肢支持具)を併用すれば、口元まで運ぶ動作を自分で行える。BFOはあくまで腕を支えて動かしやすくする装具であって、指でつまむ機能を作り出すものではない点に注意したい。移動は電動車椅子が基本となり、更衣・移乗・排泄はおおむね介助を要する。これに対しC6まで残存すると手関節背屈が使えるようになり、手関節を背屈させると指が受動的に屈曲する腱固定作用(テノデーシスアクション)で軽い把持が可能となる。この作用を利用する把持装具(手関節駆動式把持装具)が選択肢に入るのもC6以降で、握れないC5との分かれ目になる。さらにC7まで残存すれば肘伸展が使えてプッシュアップ・移乗・床上動作の自立が視野に入る。「どの筋が使えるとどの動作ができるか」を1段ずつ結びつけて覚えると、レベルの違う設問にも対応できる。
| 残存レベル | 主に使える筋 | 到達目標の目安 |
|---|---|---|
| C4 | 横隔膜、僧帽筋 | 環境制御装置の利用、顎・呼気などで操作する電動車椅子 |
| C5 | 三角筋、上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋 | 自助具での食事(万能カフ+BFO=上肢を支える装具)、電動車椅子。把持はできない |
| C6 | 長・短橈側手根伸筋、大胸筋鎖骨部 | 腱固定作用による軽い把持(把持装具=手関節駆動式把持装具の適応)、平地での車椅子自走、改造車の運転が視野に |
| C7 | 上腕三頭筋、指伸筋 | プッシュアップ、移乗・床上動作の自立、キャスター上げ |
| C8〜T1 | 手指の屈筋・手内在筋 | 手指での把持、ADLのおおむね自立 |
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