学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §3 リハビリテーション医学の基礎医学 / QJ26P019

理由で解く 柔道整復師

QJ26P019 リハビリテーション医学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問19
問題
脳卒中急性期の患者に対して他動的関節可動域訓練を施行する。不動が長い場合、拘縮を生じやすい部位はどれか。
選択肢
1 橈側手根伸筋
2 上腕三頭筋
3 大腿四頭筋
4 腓腹筋
解答
正解4(腓腹筋)
解説

仰臥位が続くと足関節は下肢の重さや掛け寝具の重みで底屈位に落ち込み、腓腹筋を含む下腿三頭筋が短縮位のまま固定されて尖足拘縮を起こす。歩行の再建を最も妨げる拘縮なので、急性期から背屈方向の他動運動と良肢位保持を行う。

拘縮は「短くなった位置に長く置かれた筋」に起こる、と考えると整理しやすい。臥床時の下肢は足関節が底屈、股関節と膝関節がわずかに屈曲した肢位をとりやすく、なかでも足関節は掛け寝具の重さも加わって底屈位に固定されやすい。腓腹筋は膝関節と足関節の両方をまたぐ二関節筋であるため、膝屈曲+足関節底屈の肢位が続くとさらに短縮位に置かれることになる。足関節背屈が0度まで戻らなくなると、立脚中期に下腿が前方へ倒れ込めず、踵接地もできないため歩行が著しく不安定になる。予防としては、足底板やクッションで足関節を中間位に保つ良肢位保持、1日数回の他動的背屈運動(膝伸展位でも行うと腓腹筋が伸びる)、可能な範囲での早期座位・立位を組み合わせる。急性期は全身状態を確認しながら、短時間でも頻回に動かすことが有効である。

✓ 4. 正しい
腓腹筋
臥床で足関節が底屈位をとりやすいため、腓腹筋(下腿三頭筋)は短縮位に置かれ続けて尖足拘縮を生じやすい。膝と足関節をまたぐ二関節筋なので、膝伸展位での背屈運動を意識して伸ばす。
✗ 1. 誤り
橈側手根伸筋
臥床では手関節が掌屈位をとりやすいため、短縮するのは手関節屈筋側である。橈側手根伸筋はむしろ引き伸ばされる側にあたる。手関節は軽度背屈位で保持し、屈筋側の伸張を行う。
✗ 2. 誤り
上腕三頭筋
肘関節は屈曲位で保持されやすく、短縮するのは上腕二頭筋などの屈筋側。上腕三頭筋は伸張される側になる。肘は伸展位を織り交ぜたポジショニングを行う。
✗ 3. 誤り
大腿四頭筋
膝関節は軽度屈曲位をとりやすいため、短縮するのはハムストリングス側。大腿四頭筋は伸張される側にあたる。膝下に高い枕を入れたままにせず、伸展位を保つ時間をつくる。
ポイント
  • 拘縮は「短縮位で長く置かれた筋」に起こる。臥床時の肢位から短縮する筋を逆算する。
  • 臥床では足関節が底屈位になりやすく、腓腹筋・ヒラメ筋が短縮して尖足拘縮を生じる。
  • 腓腹筋は膝と足関節をまたぐ二関節筋。膝伸展位での背屈運動でしっかり伸ばせる。
  • 肘は屈曲、手関節は掌屈、股・膝は屈曲位をとりやすいので、拘縮するのは屈筋側。
  • 予防は良肢位保持(足関節中間位)+1日数回のROM訓練+可能な範囲での早期離床。
比較表
部位臥床でとりやすい肢位短縮しやすい筋予防のポイント
肩関節内転・内旋大胸筋、肩甲下筋軽度外転位で保持
肘関節屈曲上腕二頭筋、上腕筋伸展位を織り交ぜる
手関節掌屈手関節屈筋群軽度背屈位で保持
股・膝関節屈曲腸腰筋、ハムストリングス伸展位を保つ時間をつくる
足関節底屈腓腹筋、ヒラメ筋中間位保持と背屈方向のROM訓練
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