学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §5 リハビリテーションの治療 / QJ26P018

理由で解く 柔道整復師

QJ26P018 リハビリテーション医学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問18
問題
脳梗塞慢性期で左片麻痺がある。痙性麻痺で共同運動を認め、内反尖足のために歩行が不安定である。歩行補助具として用いるのはどれか。
選択肢
1 左短下肢装具
2 左長下肢装具
3 左膝装具
4 両側松葉杖
解答
正解1(左短下肢装具)
解説

内反尖足による歩行の不安定さに対しては、足関節をまたいで底屈と内反を制動する短下肢装具(AFO)を麻痺側に用いる。制動したい関節が足関節だけなら装具も足関節までで足りる。

脳卒中慢性期の痙性片麻痺では、下腿三頭筋や後脛骨筋の痙縮によって足部が底屈・内反位をとりやすい。この肢位のままだと、遊脚期には足尖が床に引っかかって躓きやすく、立脚期には足底の外側で接地するため足関節が捻れて荷重が不安定になる。短下肢装具は足関節の底屈と内反を制動して踵接地をつくり、立脚期の側方安定性を確保する。下肢装具を選ぶときの考え方は「支持性が足りない関節はどこか」で、足関節のみなら短下肢装具、膝の支持性まで失われて膝折れが起こるなら膝関節を含む長下肢装具となる。共同運動が出現している段階では下肢に伸展パターンが働いて膝の支持性は保たれていることが多く、装具は必要最小限にするほうが重量が軽く歩行効率もよい。装具は歩行を固定するためではなく、安全に足を出せる条件を整えて歩行練習を進めるための道具と位置づけたい。

✓ 1. 正しい
左短下肢装具
麻痺側は左であり、問題となっているのは足関節の内反尖足。短下肢装具で底屈・内反を制動すれば、遊脚期の躓きを減らし立脚期の安定を得られる。
✗ 2. 誤り
左長下肢装具
膝関節まで覆う大型の装具で、膝折れを伴う重度麻痺や急性期の立位訓練に用いる。膝の支持性が保たれている段階では重量と装着の手間が負担となり、歩行効率をかえって下げやすい。
✗ 3. 誤り
左膝装具
制動できるのは膝関節であり、反張膝や側方動揺、靱帯不安定性などが対象になる。足関節の内反尖足には作用しないため、この場面の不安定さは解決しない。
✗ 4. 誤り
両側松葉杖
松葉杖は両上肢で体重を支える器具だが、片麻痺では麻痺側上肢での支持が難しい。杖を併用する場合は健側で扱えるT字杖や多点杖を選び、装具で足部を整えたうえでバランスを補う形にする。
ポイント
  • 内反尖足には短下肢装具(AFO)。足関節の底屈・内反を制動して踵接地と立脚安定をつくる。
  • 装具の選択基準は「支持性が足りない関節はどこか」。足関節のみなら短下肢装具、膝折れがあれば長下肢装具。
  • 膝装具は反張膝や側方動揺が対象で、足部の変形には対応できない。
  • 片麻痺では麻痺側上肢が使いにくいため松葉杖は適さず、健側で扱うT字杖・多点杖を検討する。
  • 装具は歩行練習を安全に進めるための条件整備であり、必要最小限にとどめるほうが歩行効率がよい。
比較表
補助具制動する関節主な適応
短下肢装具(AFO)足関節内反尖足、下垂足
長下肢装具(KAFO)膝関節+足関節膝折れを伴う重度麻痺、急性期の立位・歩行訓練
膝装具(KO)膝関節反張膝、側方動揺、靱帯不安定性
杖(T字杖・多点杖)支持基底面を広げてバランスを補う。健側で使用
松葉杖両上肢が使える下肢の免荷が必要な場合
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