学習トップ理由で解く 柔道整復師リハビリテーション医学 ▸ §5 リハビリテーションの治療 / QJ26P016

理由で解く 柔道整復師

QJ26P016 リハビリテーション医学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午後 問16
問題
関節可動域訓練で正しいのはどれか。
選択肢
1 愛護的に伸張運動を行う。
2 1秒程度の持続時間で伸張運動を行う。
3 他動伸張が基本である。
4 伸張前に拘縮部を冷却する。
解答
正解1(愛護的に伸張運動を行う。)
解説

関節可動域訓練の原則は「痛みを出さない範囲で、ゆっくり持続的に」。強い力で短時間伸ばすほど組織を傷めるため、愛護的な伸張が正しい。

伸張の目的は、短縮した軟部組織のコラーゲン線維を塑性変形させて長さを取り戻すことにある。強い力を一瞬かけると組織に微小断裂が起こり、炎症と線維化を招いてかえって可動域が狭くなる。そのため弱〜中等度の力で20〜30秒以上を数回、痛みが翌日に残らない範囲で持続的に伸ばす。反動をつけた短時間の伸張は伸張反射を誘発して筋が逆に縮むため避ける。伸張前にホットパックや渦流浴などで温めるとコラーゲンの粘弾性が上がり伸びやすくなり、訓練後に疼痛や腫脹が強い場合は冷却で炎症反応を抑える。運動の種類としては、患者自身が動かせる範囲は自動運動で行い、届かない分を自動介助運動・他動運動で補うのが基本の順序になる。自動運動には筋力・循環・協調性の維持という副次的な効果もあるためである。

✓ 1. 正しい
愛護的に伸張運動を行う。
組織の微小断裂と炎症を避けつつ塑性変形を得るための原則。疼痛の有無を確認しながら、翌日に痛みを残さない強さを目安に進める。
✗ 2. 誤り
1秒程度の持続時間で伸張運動を行う。
1秒では短すぎる。コラーゲンが塑性変形するには時間が必要で、20〜30秒以上の持続的伸張を数回繰り返すのが目安。短時間で反動をつける方法は伸張反射を招き効果が上がりにくい。
✗ 3. 誤り
他動伸張が基本である。
基本は自動運動。患者自身が動かせる範囲は自動運動で行い、不足分を自動介助・他動で補う。自動運動は可動域の維持だけでなく筋力・循環・協調性の維持にもつながる。
✗ 4. 誤り
伸張前に拘縮部を冷却する。
順序が逆。伸張前は温熱で組織の伸展性を高めてから行う。冷却は訓練後に疼痛・腫脹がみられる場合の対処として用いるのが適切である。
ポイント
  • 伸張は「弱め・長め」が原則。20〜30秒以上を数回、疼痛が翌日に残らない範囲で。
  • 強い力や反動をつけた伸張は微小断裂・炎症・伸張反射を招き逆効果。
  • 順序は「温熱で温める → 伸張 → 必要なら訓練後に冷却」。
  • 自動運動が基本で、足りない範囲を自動介助・他動で補う。
  • 目的はコラーゲンの塑性変形。時間をかけることが効果に直結する。
比較表
項目適切な進め方理由
力の強さ疼痛のない範囲で愛護的に微小断裂→炎症→再拘縮の悪循環を防ぐ
持続時間20〜30秒以上を数回コラーゲンの塑性変形には時間が必要
運動の種類自動運動を基本とし、不足分を自動介助・他動で補う筋力・循環・協調性も同時に維持できる
伸張前温熱(ホットパック、渦流浴など)組織の粘弾性が上がり伸びやすくなる
伸張後疼痛・腫脹があれば冷却炎症反応を抑える
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。