学習トップ理由で解く 柔道整復師運動学 ▸ §1 運動学総論 / QJ26A086

理由で解く 柔道整復師

QJ26A086 運動学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問86
問題
力の単位で正しいのはどれか。
選択肢
1 絶対単位の測定には測定場所の指定が必要である。
2 重力単位は質量1kgの分銅に作用する地球の引力を1kgwの力という。
3 質量1kgの物体に1cm/sec²の加速度が生じる力を1ニュートン(N)という。
4 質量1gの物体に1m/sec²の加速度が生じる力を1ダイン(dyn)という。
解答
正解2(重力単位は質量1kgの分銅に作用する地球の引力を1kgwの力という。)
解説

力の単位には「絶対単位系(N・dyn)」と「重力単位系(kgw)」の2系統があり、定義を正しく述べているのは選択肢2である。1kgwとは質量1kgの物体に働く地球の引力そのもので、約9.8Nに相当する。

絶対単位は「力=質量×加速度」というニュートンの運動の第2法則からつくられるため、定義のなかに重力加速度が入らず、どこで測っても1Nは1Nのまま変わらない。長さ・質量・時間にm・kg・sを用いるMKS単位系では1N=1kg×1m/sec²、cm・g・sを用いるCGS単位系では1dyn=1g×1cm/sec²と定義され、両者は1N=10⁵dynの関係になる。一方、重力単位はその場所の重力を基準にするため、素朴な定義のままでは重力加速度が緯度や高度でわずかに変わる分だけ単位の大きさがぶれてしまう。そこで現在は標準重力加速度9.8m/sec²(正確には9.80665m/sec²)のもとでの値として1kgw≒9.8Nと固定して扱うが、同じ分銅をばねばかりで量ったときの読み(実測値)は現地の重力加速度に応じて上下するため、重力単位で力を表すときは測定場所の指定が問題になる。単位名の頭文字と組にして「MKS→ニュートン、CGS→ダイン」と結びつけておくと、質量と加速度の単位を入れ替えたひっかけをその場で外せる。

✓ 2. 正しい
重力単位は質量1kgの分銅に作用する地球の引力を1kgwの力という。
重力単位系(工学単位系)の定義そのものである。質量1kgの分銅が地球に引かれる力を1kgw(=1kgf、重量キログラム)と決めており、標準重力加速度9.8m/sec²を用いれば1kgw≒9.8Nに換算できる。牽引療法の重錘表示や握力計・ハンドヘルドダイナモメータの「kg」表示のように、臨床で力をkgで表しているのがこの重力単位である。なお体重計が示す「kg」は力ではなく質量の表示であり(ばね式体重計は力を検出したうえで標準重力加速度により質量へ換算して表示する)、力のkg表示とは別物である。本問はまさにこの質量(kg)と力(kgw)の区別を問うているので、両者を混同しないこと。
✗ 1. 誤り
絶対単位の測定には測定場所の指定が必要である。
説明が逆になっている。場所の指定が要るのは、その土地の重力に依存する重力単位(kgw)のほうである。絶対単位は質量と加速度だけで決まるので、赤道でも極地でも標高の高い場所でも1Nは1Nのまま変わらない。「場所に左右されないから絶対単位」と名前の由来ごと覚えるとよい。
✗ 3. 誤り
質量1kgの物体に1cm/sec²の加速度が生じる力を1ニュートン(N)という。
MKS単位系の定義文にcmが紛れ込んでいる。正しくは、質量1kgの物体に1m/sec²の加速度を生じさせる力が1Nである。記載どおり1cm/sec²で計算すると100分の1の大きさ(=0.01N=1000dyn)にしかならない。質量の単位(kg)に合う加速度の単位(m/sec²)が来ているかを、読んだ瞬間に確認する習慣をつけたい。
✗ 4. 誤り
質量1gの物体に1m/sec²の加速度が生じる力を1ダイン(dyn)という。
今度はCGS単位系の定義文にmが紛れ込んでいる。正しくは、質量1gの物体に1cm/sec²の加速度を生じさせる力が1dynである。記載どおりだと100倍(=100dyn)になってしまう。選択肢3と4はg・kg、cm・mを互いに入れ替えた対の作りなので、「g とくれば cm、kg とくれば m」とペアで頭に入れておくと両方まとめて処理できる。
ポイント
  • 絶対単位(N・dyn)は「質量×加速度」で定義され、測定場所によらず一定。重力単位(kgw)はその場所の引力が基準なので、標準重力加速度という約束が必要。
  • MKS単位系(m・kg・sec)→ 1N=1kg×1m/sec²。CGS単位系(cm・g・sec)→ 1dyn=1g×1cm/sec²。換算は1N=10⁵dyn。
  • 1kgw(1kgf)=1kg×9.8m/sec²≒9.8N。逆に1N≒0.102kgw。牽引の重錘やハンドヘルドダイナモメータの表示を読み替えるときに使う。
  • 同じ「kg」でも質量か力かで意味が違う。牽引の重錘・握力計・ダイナモメータの kg は力(kgw)、体重計の kg は質量の表示。単位記号だけでなく何を測っている器具かで判断する。
  • 単位を問う設問では、まず「質量の単位」と「加速度の単位」が同じ系で揃っているかを確認する。揃っていない肢は計算せずに切れる。
  • 関連する組立単位も同じ発想でつなげる。圧力1Pa=1N/m²、仕事1J=1N×1m、仕事率1W=1J/sec。
比較表
単位系質量加速度力の単位特徴・換算
MKS絶対単位系kgm/sec²1 N(ニュートン)場所に依存しない。1N=10⁵dyn≒0.102kgw
CGS絶対単位系gcm/sec²1 dyn(ダイン)場所に依存しない。1dyn=10⁻⁵N
重力(工学)単位系kg重力加速度 約9.8m/sec²1 kgw(=kgf)その場所の重力に依存し、測定場所(標準重力加速度)の指定が必要。1kgw≒9.8N
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