学習トップ理由で解く 柔道整復師運動学 ▸ §4 頭・頸部、四肢と体幹の運動(筋の作用および神経支配を含む) / QJ26A087

理由で解く 柔道整復師

QJ26A087 運動学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問87
問題
指の完全伸展に関与するのはどれか。
選択肢
1 背側骨間筋の緊張
2 指伸筋の弛緩
3 虫様筋の緊張
4 掌側骨間筋の弛緩
解答
正解3(虫様筋の緊張)
解説

指の完全伸展(MP・PIP・DIPすべての伸展)は、外在筋の指伸筋だけでは完成しません。内在筋である虫様筋が指背腱膜を張ることで最後まで伸びます。正答は3です。

指伸筋の腱は手指背側で指背腱膜(伸展機構)に広がり、MP関節を伸ばす主役になります。しかしPIP・DIP関節を最後まで伸ばすには、指背腱膜の側方から加わる内在筋の張力が必要です。ここで決定的なのが起始の違いです。虫様筋は深指屈筋腱から起こって指背腱膜に停止するという特異な走行をもち、収縮すると指背腱膜を引くと同時に、起始である深指屈筋腱そのものを遠位へ引いて屈曲方向の抵抗を減らします。骨間筋は中手骨(骨)から起こるため、指背腱膜を引くことはできても屈筋腱を弛める働きはありません。MPからDIPまでを最後まで伸ばしきる作用が虫様筋に固有とされるのは、この二重の働きによります。尺骨神経麻痺で環指・小指の内在筋が働かなくなると、MP過伸展・IP屈曲の鷲手になるのは、この仕組みが失われた裏返しの姿です。また、伸展に関与する筋は「弛緩」ではなく「緊張(収縮)」するはずなので、弛緩と書かれた肢は方向が逆だと判断できます。

✓ 3. 正しい
虫様筋の緊張
虫様筋は深指屈筋腱に起始し指背腱膜に停止します。緊張するとPIP・DIP関節を伸展させ、同時に起始である深指屈筋腱を遠位へ引いて屈筋側の抵抗を減らすため、指を最後まで伸ばす鍵になります。
✗ 1. 適切でない(答えではない)
背側骨間筋の緊張
背側骨間筋は骨(中手骨)から起こるため、収縮しても指背腱膜を引くだけです。これに対し虫様筋は深指屈筋腱に起始するので、収縮すると屈筋腱そのものを遠位へ引いて屈曲方向の抵抗を減らします。MPからDIPまでを最後まで伸ばしきる働きは虫様筋に固有で、背側骨間筋の主作用はあくまで指の外転(DAB)です。したがって「完全伸展に関与するのはどれか」への答えにはなりません。
✗ 2. 誤り
指伸筋の弛緩
指伸筋は指を伸ばす主動筋なので、必要なのは弛緩ではなく収縮です。作用の向きが逆になっています。「伸ばす筋は緊張する」と押さえます。
✗ 4. 誤り
掌側骨間筋の弛緩
掌側骨間筋も指背腱膜を介してIP伸展を補助するため、求められるのは弛緩ではなく緊張です。作用の向きが逆になっています。なお主作用は指の内転(PAD)で、骨から起こる筋なので屈筋腱を弛める働きはありません。
ポイント
  • 役割分担で覚える:外在筋(指伸筋)=MP関節の伸展、内在筋(虫様筋・骨間筋)=PIP・DIP関節の伸展。
  • 虫様筋:起始=深指屈筋腱、停止=指背腱膜、作用=MP屈曲+IP伸展。起始が腱という珍しい筋で、収縮すると屈筋腱を遠位へ引いて屈曲抵抗そのものを減らせる。
  • 骨間筋は中手骨(骨)から起こるため、指背腱膜を引くだけで屈筋腱を弛める作用はない。ここが虫様筋との決定的な差。
  • 骨間筋:背側は外転(DAB)、掌側は内転(PAD)。IP伸展への関与は補助にとどまる。
  • 支配神経:第1・2虫様筋=正中神経、第3・4虫様筋と骨間筋=尺骨神経。尺骨神経麻痺で鷲手(MP過伸展・IP屈曲)。
  • 選択肢に「弛緩」とある肢は、その筋が働く向きと一致するか確認してから判断する。
比較表
区分起始主作用PIP・DIP伸展への関与支配神経
指伸筋外在筋上腕骨外側上顆MP関節の伸展単独では不十分橈骨神経
虫様筋内在筋深指屈筋腱(腱が起始)MP屈曲+IP伸展主役として担う(屈筋腱を遠位へ引いて屈曲抵抗も減らす)第1・2=正中神経/第3・4=尺骨神経
背側骨間筋内在筋中手骨(骨)指の外転(DAB)補助にとどまる(屈筋腱を弛める作用はない)尺骨神経
掌側骨間筋内在筋中手骨(骨)指の内転(PAD)補助にとどまる(屈筋腱を弛める作用はない)尺骨神経
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