学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §7 体温とその調節 / QJ26A071

理由で解く 柔道整復師

QJ26A071 生理学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問71
問題
熱産生を増加させるホルモンはどれか。
選択肢
1 アドレナリン
2 エストロゲン
3 グルカゴン
4 プロラクチン
解答
正解1(アドレナリン)
解説

熱産生を増やすホルモンはアドレナリンである。寒冷刺激などで交感神経が働くと副腎髄質から分泌され、代謝を全体に高めて熱を生み出す。

体温調節中枢は視床下部(視索前野・前視床下部)にあり、体温が下がると交感神経を介して熱産生を増やし熱放散を減らす方向に働く。熱産生には、骨格筋が不随意に細かく収縮するふるえ熱産生と、筋を使わない非ふるえ熱産生があり、後者の中心となるのがアドレナリンである。アドレナリンは肝と筋のグリコーゲン分解や脂肪組織の脂肪分解を促し、細胞の酸素消費を高めて熱を発生させる。褐色脂肪組織では脱共役蛋白(UCP1)を介して酸化のエネルギーをATPではなく熱として放出させる働きもあり、新生児では特に重要である。より長い時間軸で基礎代謝そのものを底上げするのは甲状腺ホルモン(サイロキシン)で、これも熱産生を増やすホルモンとして押さえておきたい。「短期・即効はアドレナリン、長期・持続は甲状腺ホルモン」と対にして覚えると整理しやすい。

✓ 1. 正しい
アドレナリン
副腎髄質から分泌されるカテコールアミンで、寒冷時に交感神経を介して分泌が増える。糖・脂肪の分解と代謝亢進により非ふるえ熱産生を担う。
✗ 2. 誤り
エストロゲン
卵胞から分泌される女性ホルモンで、子宮内膜の増殖や二次性徴の発現を担う。基礎体温を上げて高温相をつくるのは黄体ホルモン(プロゲステロン)であり、エストロゲンは熱産生を高めるホルモンではない。
✗ 3. 誤り
グルカゴン
膵ランゲルハンス島A(α)細胞から分泌され、肝のグリコーゲン分解と糖新生によって血糖を上げる。役割は血糖の維持であって、体温調節の熱産生を主に担うホルモンではない。
✗ 4. 誤り
プロラクチン
下垂体前葉から分泌され、乳腺に働いて乳汁産生を促す。授乳期には排卵を抑える作用もあるが、熱産生とは関係しない。
ポイント
  • 熱産生を増やすホルモンの代表はアドレナリン(即効性)と甲状腺ホルモン(持続的に基礎代謝を上げる)。
  • 熱産生は、ふるえ熱産生(骨格筋の不随意収縮)と非ふるえ熱産生(アドレナリン、褐色脂肪組織のUCP1)に分けられる。
  • 体温調節中枢は視床下部。寒冷時は皮膚血管収縮+熱産生増加、暑熱時は皮膚血管拡張+発汗。
  • 基礎体温の高温相をつくるのはプロゲステロンで、エストロゲンではない。
  • グルカゴンは血糖上昇、プロラクチンは乳汁産生。血糖・生殖のホルモンと体温のホルモンを混同しない。
比較表
ホルモン産生部位主な作用熱産生への関与
アドレナリン副腎髄質心拍数・血糖上昇、脂肪分解、代謝亢進増やす(即効性)
サイロキシン(参考)甲状腺基礎代謝の亢進増やす(持続的)
エストロゲン卵巣(卵胞)子宮内膜増殖、二次性徴関与しない
グルカゴン膵A(α)細胞グリコーゲン分解・糖新生で血糖上昇主たる役割ではない
プロラクチン下垂体前葉乳汁産生の促進関与しない
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