学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §7 体温とその調節 / QJ25A072

理由で解く 柔道整復師

QJ25A072 生理学

出典:第25回柔道整復師国家試験(2017)午前 問72
問題
熱中症への応急対応で誤っているのはどれか。
選択肢
1 冷水を飲ます。
2 解熱薬を投与する。
3 日陰に移動させる。
4 身体を水で濡らして扇ぐ。
解答
正解2(解熱薬を投与する。)
解説

この設問は「適切でない対応」を選ぶ問題である。答えは解熱薬の投与で、熱中症の高体温は体温調節の設定温度が上がったわけではないため解熱薬では下がらない。行うべきは涼しい場所への移動、体表の冷却、水分と塩分の補給である。

感染症などの発熱は、プロスタグランジンE₂により視床下部の設定温度そのものが引き上げられた状態で、解熱薬(NSAIDsやアセトアミノフェン)はその設定を戻すことで効果を出す。これに対して熱中症の高体温は、設定温度は正常のまま産熱と外部からの熱負荷が放熱を上回って体温が押し上げられた「うつ熱」であり、設定温度に働きかける解熱薬では下がらない。しかも高体温では肝・腎の障害や凝固異常を伴いうるため、薬剤の負担が加わることも避けたい。現場では、風通しのよい日陰やクーラーの効いた場所へ移し、衣服をゆるめ、体を水で濡らして扇ぐ、頸部・腋窩・鼠径部を冷やすといった体表冷却を行い、意識がはっきりしていれば経口補水液などで水分と塩分を補う。意識がおかしい、けいれんがある、自力で水分がとれない場合は、ただちに救急要請し、搬送までのあいだ冷却を続ける。

✓ 2. これが答え(適切でない対応)
解熱薬を投与する。
熱中症の高体温は設定温度が正常のまま起こる「うつ熱」なので、設定温度を下げる解熱薬は効かない。代わりに体表冷却と水分・塩分補給を行い、重症を疑えば救急要請する。
✗ 1. 適切な対応(答えではない)
冷水を飲ます。
意識が清明で自力で飲めるなら、冷たい水分を与えるのは適切である。汗で塩分も失われているので、塩分を含む経口補水液がより望ましい。
✗ 3. 適切な対応(答えではない)
日陰に移動させる。
日射と高温という熱負荷を断つ第一歩で、応急対応の基本である。可能なら冷房の効いた室内へ移すとさらによい。
✗ 4. 適切な対応(答えではない)
身体を水で濡らして扇ぐ。
水の気化熱を利用した体表冷却で、道具がそろわない現場でも実行でき効果が高い。頸部・腋窩・鼠径部を冷やす方法と組み合わせるとよい。
ポイント
  • 熱中症の高体温は「うつ熱」で、設定温度は正常。解熱薬では下がらない。
  • 発熱(感染など)は設定温度そのものが上がった状態で、解熱薬が効く。ここが決定的な違い。
  • 応急対応の柱は、涼しい場所への移動・体表冷却・水分と塩分の補給。
  • 体表冷却は「水で濡らして扇ぐ」+「頸部・腋窩・鼠径部を冷やす」が現場で有効。
  • 意識障害・けいれん・自力で飲水できないときはただちに救急要請し、冷却を続けながら搬送する。
比較表
発熱(感染症など)うつ熱(熱中症)
体温の設定温度上がっている正常のまま
起こる仕組みプロスタグランジンE₂による中枢の設定変更熱負荷・産熱が放熱を上回る
初期にみられる所見悪寒・ふるえ発汗、のちに発汗停止・皮膚乾燥
解熱薬有効効かない
対応原因の治療、必要なら解熱薬涼所へ移す、体表冷却、水分・塩分補給、重症なら救急要請
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