学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §5 消化と吸収 / QJ26A070

理由で解く 柔道整復師

QJ26A070 生理学

出典:第26回柔道整復師国家試験(2018)午前 問70
問題
門脈で正しいのはどれか。
選択肢
1 動脈血が流れる。
2 肝臓から流出する血液を下大静脈に送る。
3 肝臓で合成された胆汁を十二指腸に送る。
4 腸管で吸収された栄養素を肝臓に運ぶ。
解答
正解4(腸管で吸収された栄養素を肝臓に運ぶ。)
解説

門脈(肝門脈)は、消化管で吸収された栄養素を含む静脈血を肝臓へ運び込む血管である。栄養素はまず肝で処理されてから全身に配られる。

門脈は上腸間膜静脈と脾静脈が合流してできる太い静脈で、胃・小腸・大腸・膵臓・脾臓からの血液を集め、肝門から肝臓に入る。腸の毛細血管を通ったあと、肝臓で再び類洞という毛細血管に分かれるため、毛細血管を二度通る特殊な循環路であり、これを門脈系という。運ばれるのはブドウ糖やアミノ酸などの水溶性栄養素で、肝細胞がこれらを貯蔵・変換し、同時にアンモニアや薬物・毒物を代謝して無害化する(初回通過効果)。肝臓に入る血液のおよそ7〜8割はこの門脈血で、酸素は少ないが栄養素に富む。残りの2〜3割は酸素の豊富な固有肝動脈が供給する。両者は類洞で合流し、処理を終えた血液は中心静脈から肝静脈へ集まり下大静脈に注ぐ。なお脂質はリンパ管(乳び管→胸管)を通って静脈角に入るため門脈は通らず、胆汁は血管ではなく胆管系を流れる点も区別したい。

✗ 1. 誤り
動脈血が流れる。
流れるのは消化管の毛細血管を通ったあとの静脈血で、酸素分圧は低い。肝臓へ動脈血を送るのは固有肝動脈である。
✗ 2. 誤り
肝臓から流出する血液を下大静脈に送る。
それは肝静脈の役割である。門脈は肝臓へ入っていく血管(流入路)であり、向きが逆になっている。
✗ 3. 誤り
肝臓で合成された胆汁を十二指腸に送る。
胆汁が通るのは血管ではなく胆管系である。左右の肝管→総肝管→(胆嚢管・胆嚢)→総胆管と進み、大十二指腸乳頭から十二指腸へ出る。
✓ 4. 正しい
腸管で吸収された栄養素を肝臓に運ぶ。
上腸間膜静脈と脾静脈が合流して消化管からの血液を集め、栄養素を肝臓へ届ける。肝で代謝・貯蔵・解毒を受けてから全身循環に入る流れが門脈の存在意義である。
ポイント
  • 門脈は「消化管→肝臓」へ栄養素を運ぶ静脈。上腸間膜静脈+脾静脈が合流してできる。
  • 毛細血管を二度通るのが門脈系の特徴(腸の毛細血管→門脈→肝の類洞)。
  • 肝血流の約7〜8割が門脈血(栄養に富み酸素は少ない)、残りが固有肝動脈(酸素に富む)。
  • 肝から出る血液は肝静脈→下大静脈→右心房。門脈と肝静脈の向きを取り違えないこと。
  • 脂質はリンパ管(胸管)経由で門脈を通らない。胆汁は血管ではなく胆管を流れる。
比較表
向き中身行き先
門脈(肝門脈)肝臓へ入る静脈血(栄養素に富む)肝門→類洞
固有肝動脈肝臓へ入る動脈血(酸素に富む)肝門→類洞
肝静脈肝臓から出る処理を終えた静脈血下大静脈→右心房
胆管(総胆管)肝臓から出る胆汁大十二指腸乳頭→十二指腸
リンパ管(乳び管→胸管)腸から出る吸収された脂質左静脈角
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