学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §5 消化と吸収 / QJ27A068

理由で解く 柔道整復師

QJ27A068 生理学

出典:第27回柔道整復師国家試験(2019)午前 問68
問題
膵液に含まれる重炭酸塩の役割はどれか。
選択肢
1 脂肪の乳化
2 胃酸の中和
3 胆汁分泌の促進
4 ペプシノーゲンの活性化
解答
正解2(胃酸の中和)
解説

膵液に含まれる重炭酸塩(HCO3)の役割は胃酸の中和である。十二指腸の粘膜を守り、膵酵素が働けるpHをつくる。

胃から十二指腸へ送り出される粥状の内容物は胃酸のため強い酸性で、そのままでは腸粘膜を傷つけ、膵酵素も失活してしまう。十二指腸粘膜のS細胞が酸を感知するとセクレチンが分泌され、膵臓の導管細胞がHCO3に富むアルカリ性の膵液(pH8前後)を大量に出して酸を中和する。トリプシン(膵臓からは前駆体のトリプシノーゲンとして分泌され、十二指腸粘膜のエンテロキナーゼによって活性化される)、膵アミラーゼ、膵リパーゼといった膵酵素はいずれも中性〜弱アルカリ性で最もよく働くため、この中和はそのまま消化効率を支えている。膵液の分泌調節は「セクレチン → 重炭酸塩に富む水様性膵液」「コレシストキニン(CCK)→ 消化酵素に富む膵液+胆嚢収縮」の2系統に分けて整理しておくと、関連する設問にも一貫して対応できる。

✓ 2. 正しい
胃酸の中和
膵液はpH8前後のアルカリ性で、酸性の胃内容物を中和して十二指腸粘膜を保護すると同時に、膵酵素が最も働きやすい中性〜弱アルカリ性の環境をつくる。セクレチンがこの分泌を促す。
✗ 1. 誤り
脂肪の乳化
これは胆汁(胆汁酸)の役割である。胆汁酸が脂肪滴を細かい粒に分散させて表面積を広げ、膵リパーゼが作用しやすくする。胆汁には消化酵素は含まれない点も確認しておきたい。
✗ 3. 誤り
胆汁分泌の促進
胆汁の産生・分泌を促すのはセクレチンや胆汁酸自身であり、胆嚢を収縮させて胆汁を排出させるのはコレシストキニンである。重炭酸塩そのものにこの作用はない。
✗ 4. 誤り
ペプシノーゲンの活性化
ペプシノーゲンを活性型ペプシンに変えるのは胃酸(塩酸)による酸性環境である。むしろ重炭酸塩はこれと逆向きに働くため、役割としては当てはまらない。
ポイント
  • 膵液の重炭酸塩=胃酸の中和。十二指腸粘膜の保護と、膵酵素の至適pH(中性〜弱アルカリ性)確保が目的。
  • 膵液はpH8前後のアルカリ性。分泌はセクレチン(酸刺激で十二指腸から分泌)が促す。
  • コレシストキニン(CCK)は消化酵素に富む膵液の分泌と胆嚢収縮を促す。
  • 蛋白分解酵素は前駆体(トリプシノーゲンなど)として分泌され、十二指腸のエンテロキナーゼでトリプシンに活性化される。膵臓の自己消化を防ぐ仕組み。
  • 脂肪の乳化は胆汁酸の役割。胆汁には消化酵素は含まれない。
  • ペプシノーゲン→ペプシンの活性化は胃酸(HCl)による。
比較表
消化液pH主成分主な働き
唾液中性付近唾液アミラーゼデンプンの分解開始
胃液強酸性(1〜2)塩酸、ペプシノーゲン殺菌、ペプシン活性化、蛋白質分解
膵液アルカリ性(約8)重炭酸塩、トリプシノーゲン・アミラーゼ・リパーゼ胃酸の中和、三大栄養素の分解
胆汁弱アルカリ性胆汁酸、ビリルビン脂肪の乳化・ミセル形成(酵素なし)
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